AREA 241~やりたい放題の40エーカー~ – 241 x SBN Vol.3 –

アラームの代わりに太陽が顔を出し朝日が山肌をオレンジに色付ける。その光で目を覚ましコーヒーを淹れ、柔らかい光の中今日一日の事を頭の中で考える。窮屈なスケジュールとは無縁でシンプルな一日が待っている。小さな家の扉を開けると目の前に広がるノートラック。車を暖める必要も、ましてやリフト券も必要無い。ブーツを履き一歩外へ出てストラップイン。最高の一日の始まりだ。

僕たちスノーボーダーにとっては、聞いただけでもワクワクする夢の様な朝。その夢を自分の手で現実の物にしたマイクバシッチ。カリフォルニア州トラッキーから10マイル程離れたシエラ・ネバダ、そこに位置するAREA241と名付けられた40エーカーのプライベートフィールドでは、彼の想像力すべてがカタチとなる。

90年代から20年以上スノーボードシーンを牽引してきたマイクバシッチは、ライディングは勿論の事フィルミングに対しても常に新しいアイデアを形にし、それまで誰も思いつかなかったような手法で自分の世界観を表現してきた。DIY (=Do It Yourself) つまりは自分でモノを作り出す事。モノで溢れている現代では「一から作る」というプロセスは薄れてきてしまっている。ただ100パーセント自分の想像力を形にしたいのであれば、自らの手で造り上げる事が不可欠になる。「AREA241をスタートさせた理由は幾つかあるけど、モノ作りのプロセスを考え、学ぶ場所に自分自身を置きたかったんだ。蛇口から出る水やコンセントから送られてくる電力なんて日常じゃ当たり前の事だけど、実際自分で一から始めようとなると以外と頭を使うんだよね。」と彼はチャレンジを楽しむかの様に言う。天気、山、自然の動きを感じ取りながら生活する事で、地球との付き合い方が徐々に変わって来ているのだろう。コンペティションの世界から自然と対話してライディングするスタイルに移行したのも自然な流れなのかもしれない。「毎日使う物だから、本当に愛着が湧く物を使いたい。自分で引いた水道で毎朝歯を磨くだけでも本当にキモチいいよ。」なるほど、自分たちの生活では当たり前と思える事をこうやって楽しめる訳だ。

Edit by Kato Kenji