始めて彼と握手を交わした瞬間、「ん?以外とそうでもないな」と感じた。トタンが張り巡らされたラスティックなトレーラーハウスや自作のリフト、玄関先からストラップイン出来る小さなキャビン。すべて自分の手で生み出している彼の事だから、「もちろん手のひらはゴツいのだろう」と勝手に想像していた。
マイク・バシッチ。80年代後半から数々のコンテストでその名を轟かせ、90年代に入りブライアン・イグチやテリエ・ハーカンセン、ジェフ・ブラッシーらと肩をならべていたフリースタイルスノーボーディングのパイオニアの1人。その想像力と独創性のあるスタイルで観る者全てを魅了していった。また、彼独特のスタイルはスノーボーディングだけの枠には捕われず、表現の場を映像や写真、そしてアウターウェアを含む彼のライフスタイルまでにも広がって行く。
また、スノーボーディングにおける彼の想像力は留まる事を知らず、溢れ出たそのクリエイティビティは映像や写真の世界にまで浸透して行く。今ではGo Proを始め、コンパクトなカメラが市場に出回り「自撮り棒」等のセルフシューティングアクセサリーも豊富になっている。だが、それが生まれるずっと昔からマイクはセルフシューティングのパイオニアだった事を多くの人は知らない。
「独創的」「ユニーク」「革命的」等、マイクに似合う様なワードを探し当てても、どれもピッタリと当てはまる物が無い。ただ一つハッキリと言える事。それは「メインストリーム」という言葉が彼には似合わない。それはどう言う事なのだろうか?2015年2月、マイクはパウダーフィールドを求め来日した。スノーボーダーとして、そしてクラフトマンとして。彼に聞きたい事は山ほどある。マイク・バシッチ、そして彼の世界がギッシリ詰まったAREA241に迫ってみようと思う。
Edit by Kato Kenji