前週の爆弾低気圧の最中にスロープスタイルコースの造成にあたり尽力を尽くしてくれた鷲ヶ岳スキー場のご協力により、JSBAの全日本選手権と併催されたこのスロープスタイル種目最終戦となるプロ戦が、風もなく、雲一つない快晴の中開催されました。
セクションは3セクション、12m→13mの2連ステップダウンキッカーをこなしてから待ち構えるのは、フラットボックスのアウトにダウンレールの付いたセクションと、スノーボックスのアウトにダウンレールの付いたセクションの選択制。
活字だけを読むと3つのセクションで比較的イージーに感じるかもしれないが、セクション間の距離も短く非常にタイトなコースレイアウト、特にキッカーは1つ目が前日の全日本選手権からリップの高さがあがり上に打ち上げられるような形状でランディングの乱れがシビアに出る可能性のあるキッカー、そしてそれに続く2つ目のキッカーは1つ目とは打って変わって奇麗なリップをしているもののリップにアールが少なくしっかりと回転の先攻動作をとって踏み切らないとならない、とても繊細なキッカーという印象。
それに加え放射冷却で冷やされたランディングは堅く、ボードにエッジがない選手は着地しても抜けてしまうような春ならではの苦戦を強いられる戦いになった選手も多く見られました。
そんな印象を尻目に今回の大会特に男子は決勝進出者12名中7名が10代と、若手の選手の活躍が光りました。そんな中20代の選手も負けてはいません。
今シーズンとても好調のファイナリスト常連の完成度が高く安定した滑りをみせる小川雄丸プロ、そしてジャンプの飛距離高さも際立っていた吉本佑仁プロ、そして今シーズンメキメキと力をつけ完成度の高いSB900をみせてくれた中村一樹もいざファナルの舞台へ。
ファイナルは高回転難易度完成度勝負。
900がスタンダードとなり1080、それにWコークなど数多くのトリックが入り乱れる空中戦。
予選から今大会最高難易度のBackside Wコーク1080を高確立で決めていた宮澤悠太郎選手のトリックが優勝かと思いきや、ランディングで手をついてしまいこの乱打戦を制したのは北海道からのエントリーの濱田海人プロ。
1本目の完成度の高いランからさらに難易度をあげ、Frontside 900からCab1080をしっかりとメイクし、JIBセクションでもトリッキーに決め優勝を決めました。
男子リザルトは
1 濱田 海人
2 吉田 景風
3 小川 雄丸
4 鈴木 淳宏
5 中村 一樹
6 宮澤 悠太郎
女子はキッカーのランディングであわせられず苦戦する選手がいる中、やはり女子でも若手の活躍が目立っていました。
しかし優勝を成し遂げたのは、なんと今大会女子選手最年長でもある鈴木徳子選手。
もちろんトップランカーではあるものの毎年トリックが進化しており今シーズンの決め技として完成させてきたBacksideコークの720。
これを彼女の代名詞でもある徳子フリップ(Back Flipテールグラブ)の後にいれJIBも危なげない滑りで優勝を決めました。
女子リザルトは
1 鈴木 徳子
2 内藤 夕貴子
3 小川 輝
大会を終始見て思ったことは、この3セクションと少ないセクションの中、キッカーが2つだとどうしてもキッカーばかりに目がいってしまいがちですが、最終セクションでもあるJIBセクション、これをおろそかに、そつなくこなしていた選手のポイントがのびていない印象を受けました。
ファイナリスト達はJIBセクションもしっかりと難易度の高いトリッキーな技を繰り出していたこと、そしてJIBセクションも『キッカーのおまけ』のセクションではなく、三つのセクションのうちの一つとしてジャッジもしっかり見ているため、最後まで気を抜かずトリックを繰り出した選手の評価が高かったということです。
いくら難易度の高いトリックを繰り出しても、着地で手をついてしまったり板が少しでも流れてしまい乱れてしまうと大幅な減点になってしまうため難易度を抑えがちですが、完成度を高くし高難易度のトリックを繰り出した選手には必ず栄光が待っていると思います。
大会参加選手もこれからプロに上がってくる選手も、頂点目指して恐れずどんどん挑戦してもらいたいです。
最後になりましたが大会運営の皆様、そして素晴らしいコースと整備をみせてくれたゲレンデパークディガーの皆様、大会コースを提供して頂きました岐阜県鷲が岳スキー場様に一礼し、締めくくりの言葉と変えさせて頂きたいと思います。