TRIP FOR REST Trip.2 Spot in Japan
FRIENDS session at Otari / Nakazato / Tanigawa
立山トリップが終わり、本格的なシーズンインを白馬で迎えていた。
12月から例年稀に見る降雪が日に日に山を覆い、毎日パウダー三昧の日々だ。
滑るエリアは白馬や白馬の北に位置する小谷だ。
白馬村の北に位置する小谷村は白馬よりも日本海に近いため雪が多く、白馬の南側にある五竜などと小谷温泉などの方を比べると全く違う積雪だ。
僕がやっているFREERIDE WORKSHOPを開催している白馬コルチナスキー場や、栂池、乗鞍も小谷村だ。
WORKSHOPに付いてはまた別で触れるとして、小谷はとっても良くお世話になっている場所だ。
その日は今シーズン初めての撮影だった。
新雪はかなり多く、スノーシューをはいても腿まで埋まってしまう。斜面を登るとなると胸くらいまであるように感じるくらいだ。
Photographer板原健介(いたちゃん)とFilmer梶田敏之(カジ)は道路脇で待機し、1人で1時間半のラッセルハイキング。
目当てにしていたポイントをやっつけ(やられ?)、カメラマンの元へ戻ると、ライダーの田中陽が偶然現場に駆けつけていた。
ロケハンに来たら見つけたらしいが、プロを目指していた頃から一緒に切磋琢磨していた田中陽は、何か嗅ぎ付けここに現れたのだろう。
日暮れ前の心地いい空気、景色、良いリズムは重なり、ラスト1本みんなで登って滑る事になった。
仲間と笑いながら滑れる幸せを噛み締めたその時間、最後のハイタッチがこの上なく気持ち良い。
誰とどこで滑っていても、滑り終わるとハイタッチ。
その瞬間、語らずとも気持ちは通じるのは何故だろうか。
「湯沢中里」
どこだ?と思う人も多いのではないだろうか? 少なくとも僕はどこだ?となった。
しかし、訪れた瞬間その場所を好きになってしまった。そんな魅力の詰まった場所。
駅と連結したこのゲレンデは決して大きくはないが、ファミリーからパウダー好きまで誰もが楽しめる所だ。
本当にスノースポーツを好きで理解のある人が運営し、小さな場所にも地形を活かした多くの楽しみが詰め込まれている中里は、今後の日本のスノーリゾートに必要な存在になるだろう。
豪雪地帯の湯沢の積雪は他とは比べものにならないくらい多い。一晩で30cmは余裕で、僕たちがいた時も雪は降り続き、永遠とパウダーを滑らせてもらえた。
滑れる場所も無数で、ゲレンデのパウダーを食い尽くす前に、自分たちがパウダーに食い尽くされ疲れ果ててしまう。
今後、中里のパウダーの競争率が上がる事は確実だろう。
楽しいから仕方ない。
白馬のコルチナも数年前から規制を緩和し、今では外人パラダイスだ。
そもそもスノーボードの楽しみは自由なところ。
枠を決めたら楽しみの限界は枠の中に収められてしまう。
もちろんルールは大事というのが大前提だが、ウィンタースポーツは元々ただの雪山から始まった事を忘れてはいけない。
そこに一番の楽しみがあるだから。
日本のパウダーは海外ではJapowと呼ばれるほど、世界的にも日本という国は雪と山に恵まれている。
それを日本人である私たちが知らないというのは残念な話しだ。
だが、その楽しみを広げる場所は年々増えていて、中里はその良い例だと感じる。
見た目とは裏腹に想像以上に面白いこのゲレンデは、運営側の優しさをすごく感じる事が出来る。
今後、安全管理の発達が規制を緩和し、日本のゲレンデ全体がもっと楽しくなる事は間違いない。
そこをサポートするのも僕たちの役目ではないだろうか。と思う今日この頃。
現状、スノーボードのスの字も知らずやめていく人はたくさんいるのが現実だ。
自分たちがおじいさんになった頃、日本のゲレンデはどうなっているのだろうか。
果たしてどうなっていたいのであろうか。
中里には明るい未来が見え隠れしているように感じた。
「谷川岳」
なぜ人は山に向かうのか。
人それぞれの理由はあるが、最終的には自分の為だ。
自分の満足の為。
それが全ての答えに繋がる。
夜11時、突然電話がなった。
「明日、谷川行くでー。コンディション良いで。良い所行けるかも。7時半集合ね。じゃあ。」
全く予定していなかったが、山のコンディションは待ってはくれない。
白馬からは4時間。実は前日の夜に湯沢中里から帰って来たところ。
朝3時半には出発だ。
道中は綺麗な星空と朝焼けが迎えてくれた。
遠くに見える真っ白な山に向かって走っていく。
今回は水上ローカルでheadのライダーでもある前原大和とのセッションだ。
大和と合流し、今日の行程の打ち合わせ後、ロープウェイ、リフトから山をじっくりと観察する。
いつもゆったりとしている大和だが、今日はいつになく緊張感を持った眼差しをしているように感じた。
山を見ながら大和が言った「やりたい事は全部ここにあるんだよね。」その言葉の意味を谷川の山を見ながら噛み締めていた。
登り出すと稜線からの眺めは素晴らしく、登るにつれ遠くから見ていた山のスケールより遥かに大きい事を実感する。
ライン取りは雪のコンディションに左右される。
谷川では、大きな斜面を滑れるチャンスはシーズンに10日ほどらしく、その10日を当てるには谷川の山を観察している必要がある。
そんなチャンスに巡り合えた事がありがたい。大和がいるからこそ出来るチャレンジだ。
滑り始めるとそのラインの長さを実感する。
安全に滑り降りる事が第一。
高ぶる気持ちと冷静な行動。
約2分間のライディング。
大和を見つけた時の安堵感はなんとも言えない。
そして、こうゆう時のハイタッチは格別に気持ちが良い。
大事な時間を過ごした仲間とのハイタッチは、お互いの気持ちをしっかり繋げてくれる。
山で何をするかは人それぞれ。
仲間とゲレンデを滑る事も楽しければ、里山でセッションする事も面白い。
そして、大きな山へ向かう事も。
何をしていたとしても、求めている事はみんな同じ。
自分を解放してくれる場所を探している。
僕と大和はじばらく山を振り返り、それぞれの想いを寄せていた。
またどこかで交わる事が楽しみな仲間だ。
TRIP FOR REST Trip.2 Spot in Japan “FRIENDS SESSION”
大事な仲間とこれからもスノーボードを続けて行きたい。
TRIP FOR REST Trip.2 Spot in Japan の映像はコチラ
FORESTLOGのWEBサイトにも写真や日々の出来事をアップしています。
http://forestlog.tumblr.com
Text : FORESTLOG DESIGN (Kazushige Fujita)
Photo : Toshiyuki Kajitaの映像よりキャプチャしています。
Rider : Kazushige Fujita / Yoh Tanaka / Yamato Maehara / Photographer itachan
Spot : Otari. Nagano / Nakazato .Niigata / Tanigawa. Gunma
FORESTLOG DESIGN Present SNOWBOARD TRIP PROJECT “TRIP FOR REST”
旅と切っても切り離せないスノーボード。「スノーボードと旅」をテーマに、映像、写真、文章でお届けするオンラインコンテンツプロジェクトが今作より始まりました。
日本・カナダ、世界各地を旅する中での体験、出会う景色や人々、その土地ならではのライディング、初めて見る景色、まったく異なる雪質、ファーストトラック。
ローカルには地元民ならではの山の冒険や、街から山へ向かう人にも、日本から海外へ行く人にも。旅する中で新しい物と出会い、仲間とのかけがえのない体験は誰にでもあるはず。
旅する事から味わえる体験は、きっと人生の新しい可能性を広げてくれる。そして、いつも新しい可能性を切り開くのは自分自身。
TRIP FOR REST 心に刻まれる旅へ出かけよう。
彼独自の目線から綴られるコンテンツが特設サイトにて定期的に公開されています
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