上越国際にて“THE SLOPE”が開催された!
THE SLOPE?耳慣れないイベントだが…。
上越国際スキー場にそびえ立つホテル、グリーンプラザ上越国際の目の前には、3つのセクションが出現。
まず1つめは3WAYのジブセクション。ダウン・フラット・ダウンのキンクレール、フラットダウンのボックス、そしてブラインドギャップからのダウンボックスをライダーがチョイス。
2つめはビッグなステップダウン・キッカー。
そして3つめは、キッカーとクォーターパイプのコンビネーションアイテム。キッカーを使って飛び越えるも良し、クォーターパイプでR系のトリックを決めるも良し。
コースデザインは、世界中のライダーから絶大な支持を受けるSPTこと、SNOW PARK TECHNOLOGIES。そしてこのコース造成をサポートするのは、お馴染みアイアン・クロウとAREA51sら日本を代表するパークビルダーの面々。
▲予選の様子
なるほど、コンパクトなコースに、スノーボードのあらゆる要素がぎっしり詰まった競技にしようということだね。
大会開催の週は日本付近の天気図は絵に描いたような冬型の気圧配置で、バレンタイン寒波?が到来。日本海側は記録的な大雪になった。
金曜日の公開練習中からライダーから「板が走らない!」「届かない!」という悲鳴が。
そんな声に、SPTクルーも「OK! YOU GYUS,1時間で直すぜ!」と懸命の修正&調整作業。
土曜日は予選。午前中にAグループ、午後からBグループに分かれて、26名づつ2グループの予選ランが開催された。
A、B各グループの上位6名づつ12名、そしてそれらを除いた選手からはAとB混合で得点上位4名、合計16名が決勝トーナメント進出となる。
めまぐるしく変わる天候によってコンディションに差が出てしまうのが屋外競技の常だが、技術だけでなく天も味方につけなければならない。まさに運も実力の内とはこのことか。
Aグループ、1stランは視界が悪い中、谷口尊人が229点をマーク。次いで増田塁輝216点、鈴木裕二213点と続く。
上位各ライダーの滑りを見ていると、難易度もさることながら確実にメイクして失速することなく次のセクションに入ることが重要だということがわかる。実際、第2セクションを高く、大きく飛んでスピードに乗ったまま第3セクションに入ってくる滑りには、観ていて高揚感すら覚える。
2ndランでは、なかなか点数が伸び悩む中で、笠原啓二郎が奮起!248点の高得点をたたき出す。そして1stでも3位の鈴木裕二が、さらに点数を伸ばし237点。2位に上昇。この安定感はホンモノだ。
結果、Aグループからは以下の6名が決勝進出した。
笠原啓二郎 248点
鈴木裕二 237点
谷口尊人 229点
奥村幸司 219点
増田塁輝 216点
細野大輔 215点
続くBグループはコンディションが一変。公開練習中は陽射しも差して視界良好。これは高得点が期待できそう。
トップランナーの石川敦士がいきなり270点をマーク!クイントン・ロビンスが続く257点をマーク、ルイ・プルカー253点、戸谷隼人248点、チョコバニラボール新井228点と続く。1stランで軒並み高得点が出たが、徐々に雲行きが怪しくなり、また雪が降り始めた2ndラン。各ライダー、得点が伸び悩むところだが、タイラー・エモンドが233点をたたき出し、Bグループ上位に割って入った。
▲snowstyle賞 菊池秀平のワンフット
Bグループの結果は以下の通り
石川敦士 270点
クイントン・ロビンス 257点
ルイ・プルカー 253点
戸谷隼人 248点
タイラー・エモンド 233点
チョコバニラボール新井 228点
そして残る4名は、全てBグループから
堂前和也 224点
山口睦生 223点
ダン・ブリーズ 218点
楠本剛士 217点
となった。
この予選の後、FREERUN、snowstyle、SnowBaorder、SupeRb、TRANSWORLD SNOWBOARDING JAPAN、そしてSBNという6つのスノーボードメディアからそれぞれの選考により各メディア賞が発表された。
Freerun賞 鈴木裕司 、SnowBoarder賞 細野大輔、snowstyle賞 菊池秀平
SupeRb賞 清水大輝、TRANSWORLD SNOWBOARDING JAPAN賞 増田塁揮、SBN賞 戸谷隼人
夜はホテル下の斜面でRAIL JAM。26名のライダーが参加してかなり盛り上がってジャムセッション。
ウェーブしているレイルでは、鈴木裕司、バニボ、TJらが360抜けを連発。最後にロデオで抜けた鈴木裕司がBEST TRICK。
▲Rail Jam : BEST JIBBER : # 8 JOE SEXTON
▲Rail Jam : BEST TRICK : #52 YUJI SUZUK
ダウンのレイルは技数覚えきれないくらい様々なパフォーマンス連発。メイク率と独特のスタイルでジョーセクションがBEST JIBBER。
▲それぞれ賞金¥150,000、この日鈴木裕司選手は¥350,000の荒稼ぎでした。
明けて日曜日、決勝ラウンド。
またしても朝から雪。しかも降り止む気配すらない。
予選を勝ち上がった16名のライダーによる決勝ラウンドは、1on1の真剣勝負の勝ち抜き戦が行われる。
この決勝ラウンド、賞金は1位のみ100万円。ALL or NOTING。つまり、2位や3位には意味はないというから白熱することは必至。
対戦表は下記の通り。
1回戦が8ゲーム、準々決勝4ゲーム、準決勝2ゲーム 決勝1ゲームの全15ゲーム。その中でも屈指の好カードとなったのが、1回戦第3ゲーム、チョコバニラボール新井と谷口尊人との対戦。先攻のバニボが225点をマークすると、後攻タカトが255点をたたき出しリード。2ランめでバニボが260点で逆転。視界が悪い中応戦するタカトの2ランめは惜しくも199点。この見応えある戦いに、観客もヒートアップした。
▲SUPER FINALで破れたタイラー・エモンド
この決勝トーナメントはちょっとしたミスがアダとなる。そんな中、ほとんどノーミスで勝ち上がり、ファイナルでは今大会の最高点となる279点をマークして完全優勝を果たしたのが石川敦士!見ている観客も転ぶ気がしない。常に立つ。特にスイッチB720の完成度はもはやパーフェクトといっていいだろう。
▲優勝 石川敦士
非常に不安定な天候だったが、不思議なことに敦士の出番の前後になると視界が良くなるという幸運にも恵まれる。天も味方にするオトコ。運も実力の内という言葉がぴったりだ。
今回開催されたTHE SLOPEは、コンパクトなコースで緊迫のゲーム展開というわかりやすい構図となり、詰めかけた観客の盛り上がりがそれを証明した。
この大会が日本の今後のスノーシーン与えるインパクトに期待したい。
THE SLOPE