Life in Canada / January
Whistlerに来て2ヶ月。
ウィスラーは20数年ぶりの雪不足で雪の大切さを感じている。
雪の量で滑れる場所は変わるし、地形も変化していく。
雪が少ないと木や岩がたくさんでなかなか滑らせてもらえない。でも雪が多いと、そこは天国のよう。
そして、気温、湿度、風向き、太陽、様々な要因が山の状態を作り上げていく。
その場所に行ったからと行って簡単に滑らせてはもらえない。
全ては奇跡のようなタイミングで全てが生み出れている。
自分の判断次第で、最高の瞬間が味わえたり、簡単に死ぬ事も出来る。
1月、雪の少ないウィスラーを離れ、500kmくらい内陸のレベルストークへ向かった。
そこは北米NO.1の高低差を誇るスキー場で滑れるエリアも広く、日本では想像もつかないような景色が広がる。
なぜかリフトは3本しかない。コースにクリフがあるのは当たり前。急斜面、コブ、ロングラン。
そこら辺を滑っているやつは日本のプロと呼ばれるだけのライダーなんかより上手いし速い。
日本のスキー場はコース以外は危険な場所とされていて、立ち入り禁止。
こっちのスキー場はコース以外も管理し、スキー場全体を楽しめるように作られている。
管理されているからと言っても、日本の常識ではありえないような場所もある。
だからスキー場に来る人は山に詳しくなるし、技術も上がる。
人の手が入っていなような大自然を味わい、もっとスキーやスノーボードが楽しくなる。
日本とは違ったこの環境が、この文化を作り上げた。
ゴンドラに乗り、リフトに乗り継ぐ。そしてそこからハイクをして目的の場所へ。
今回はスキー2人、テレマークスキー1人、ボード1人、カメラマン1人の5人旅。
今までスノーボーダーとしか撮影した事ない僕にとって、とにかく新鮮なメンバー。
1週間のスキーヤーたちとのハイクしての撮影は、雪や雪崩や難しいコンディションに悩まされながらも、新鮮なセッションになっていた。
1人だけスノーシューでのハイクは、雪が深くなるにつれて一歩一歩沈む量が増えて足が重たくなっていく。
フラットなバーンでは引っ張られたり、スキーの山での道具としての便利さと、スノーボードのポテンシャルの限界を知る。
晴れのなかった1週間が終わり、帰るか残るかの判断をする時。明後日から晴れが予想。
僕らはあの斜面を滑る為に帰る日を延期した。
滑りだす場所から見る景色は、僕にとって初めて見る光景。
雪崩のリスクや自分のスキルを見極めるために様々な角度からその斜面を見る。
前日から入念にチェックして、家に帰ってからはみんなその斜面の写真に目を見開き、自分の滑るラインを何回も確認する。
それぞれの意見を出し合い、雪の具合、状態、リスク、セカンドプランをみんなで話し合い、安全に、良い絵を残そう。みんなの想いをすり合わせていく。
気温が高くなる予報のこの日、出来る限り早い時間にドロップを決行する。
お互いのラインを確認し、何かあった場合のサポートを確認し合う。
何か。というのは雪崩か、岩か、コースがわからなくなった場合か、全てのありうる事をすり合わせる。
この1週間、雪崩のリスクは高く、各地で雪崩への警告がされていた。大きな雪崩の起きる可能性も十分にある。
最後に上から雪を確認し、大丈夫と判断。
それぞれのスタートポイントへ向かい順番にドロップし、僕は最後に滑った。
僕の滑った場所は雪は思っていたよりも雪が悪く、かなりハードなバーン。
速く力強く滑りたかった。でも難しいコンディションに苦戦して、最後まで良いリズムをキープ出来なかった。
この斜面を滑れるチャンスはシーズン中にもそんなにない思う。
全てのタイミングが重なって、初めて滑る事が出来る。
この日のベストライドはYU SASAKI。
フリーライドワールドツアーの決勝も行われているこの斜面に、彼はかなりの思い入れがあったみたい。
パワフルでダイナミックで、スピーディなラン。良い滑りだった。悔しいけど。
滑り終わり、最後はカメラマンのけいじ君のもとへハイクバック。
雪を斜面を確認しながら、安全に。
戻って来た時のあの安堵感は、なんて言ったらいいかわからない。
個人的にはただ悔しい。もっと良い滑りがしたかったし、自分の力のなさを知った。
でもクルーとして、良いチームワークでこのミッションをやり遂げた事は、これから次のステップへ向かう為の、良い経験となった。
信頼出来る仲間がいて初めて出来る事。
カナダへ来て本当に良い経験をさせてもらっている。
ウィスラーへ帰ると、天気は完全に春モード。
自然相手のスノーボード。なかなか思うようには滑らせてもらえない。
山のチェックも兼ねて、山小屋へ2泊3日で行く事になった。
良い雪はないけど、最高の天気に、綺麗な景色、大きな山に囲まれた山小屋は本当に素敵な場所。
夜になると、今までで見たどの夜空よりも星が輝いていた。
電波も電気もない、日常世界から隔離された場所。
早く起きて日の出を待ち、太陽の温かさを感じる。
光りの移り変わりや、風、雪の変化、そして完全に春になった雪を楽しむ。
太陽が落ちると火を焚く。
自然のリズムの中での3日間の生活は、自分を見つめる良い機会になった。
全てはこれからの為に。
常識と呼ばれる型なんかにはまる生き方はしたくない。
人生一度きり。妥協したらそこで終わり。
妥協するくらいなら今すぐ死ぬよ。
気付いた時から始めたらいい。
今が未来を形作る。
やりたい事は全部やる。
やれない事なんか何もない。
次はどこで何が待ってるかな。
ext & Photo : Kazushige Fujita
Location : Whistler. Revelstoke
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