MADBUNNY=高田昭義インタビュー
ユタやジャクソンホールを10年以上攻め続け、最近ではイランでの撮影を成功させ、全国誌snowstyleでは異例の70ページ以上の特集が組まれていたので、SBN読者のみならず、スノーボーダーなら知らない人はいないであろうMADBUNNY。
スケートボード歴27年/スノーボード歴24年という年月を刻み、これまでリリースされた彼のシグネチャーボードは20本以上を数え、ONE BALL JAYからはインターナショナルでシグネチャーシリーズがリリース。
アーティストとして1年の半分以上を海外(ロンドンとベルリン)で過ごし、日本にいる方が少なくその私生活は謎だらけ。
数ヶ月前からオファーしていたインタビュー。プロスノーボーダーMADBUNNY=高田昭義を彼のスタジオでキャッチした。
高田さんは忙しく世界中を回っていますが、ここ数年の動きを教えて下さい
この10年の流れだと、冬のシーズンは年末からアメリカでスノーボードの撮影をし、帰国後は志賀高原をベースにウェアーや板のテストをしながら日々撮影。
春になるとベルリン、ロンドンに戻りアーティスト活動やアートショー。7月中旬にフジロックに向けてUKのクルーと一緒に日本へ戻ってくる流れ。
UKクルーが日本に滞在している間はミーティング等しつつ日本の観光地に連れていったりして、9月にまたロンドン、ベルリンに戻ってアート活動。11月頃日本に帰国してデザインの仕事をしながらまた雪が降る。という生活です。
ベルリンとロンドンに行き始めたのはいつ頃からですか?
考えるともう15年くらい前からになりますね。その頃、会社も始めたのでそんなに長く滞在出来ませんでしたが、行ったり来たりをずっと繰り返していました。
最近は、昔よりインターネットや携帯電話が充実して海外でも、変わらず仕事が出来るし、今では安心して任せられるスタッフ達がいるので、ロンドン、ベルリン、日本と、2~3ヶ月ずつの滞在を繰り返しています。
行き始めたきっかけはなんでしたか?
子供の頃から音楽が大好きで、中1の頃からベーシストとして音楽にも携わっているし、物心ついた時、自分が好きな音楽ってほとんどUK.だったんだな、って気付いた時から衝動的にロンドンに惹かれたのかもしれません。
当時、デザインを学んだ事も無いプロライダーと呼ばれる人達が、メーカーの力でブランドを作る事がとても疑問で、自分の名前を伏せ、デザインやムーブメントで勝負する為にUG.というブランドを始めました。
でも、15年前ブランドを立ち上げた瞬間から、自分は学校でデザインを学び、社会人になりグラビアの現場で働いたけれど、自分がもっと進化しないと、結局(前出)のブランドと同じく2~3年で終るブランドになってしまう。と強く思ったんです。
だから、更にアートやデザイン、写真というものを掘り下げて、UKやヨーロッパで通用するデザイナーになりたかったんです。ファンの皆さんに自分がデザインしたプロダクトを買ってもらうんですから、自分も最大限の努力をしないといけない。って。
その気持ちは15年経った今でも変わりません。
当時、UKでアートやデザインというその業界に、日本人が入り込むというのは非常に大変だったかと思いますが
正直凄く大変でした。もともとロンドンに友達がいた訳でもないし、すべてのトライが未知との遭遇で、初めてロンドンで個展を開催出来るまで、数年間一人で作品を持ってギャラリーを回り続けました。言葉では言い表せない大変さも含め、孤独な修行期間だったと思います。
今ではロンドンの3つのギャラリーに所属させてもらっているので、各ギャラリーからのオファーは絶対に断らないようスケジュールを調整するのが大変です。ロンドンで所属する全てのギャラリーで日本人アーティストは僕だけなので、急なスケジュールのオファーにも精一杯対応しました。
それはヨーロッパだろうが、アメリカだろうが、アジアだろうが、呼ばれれば次の日でも作品を持って現地に飛びました。そこに掛かる経費も全て自腹ですが、世界中から集まったアーティストの皆で廃墟を片付け壁を白く塗る所からギャラリーを作ったり…
そうゆう生活とショーを10年くらい続けた結果、自然とファミリーになれたというか「あいつは動ける、Akiはやれる」と認めてもらえたんだと思います。
アートやデザインという世界でロンドンやベルリンでこれだけの評価を受けつつ、フォトグラファーとしても世界的に認められていますが、目指す作品の表現や一貫性というものはありますか?
今やっているBYSDNTCRY.という表現は、女の人の日常やヌードなのですが、その瞬間を残したい。という気持ちはスノーボーディングやスケートボーディングの撮影と変わりはありません。
時の流れの中で、被写体の一番大切な瞬間と感情を、僕の感性で切り撮りたいという意識が根底にあります。
「撮りたい」と思う被写体はどのようなものなのでしょうか?
スノーボードのライダーでいえば、その人にスタイルがあるか?という部分が凄く大きい所です。自分がカッコいいな、と思えばプロライダーであろうがアマチュアライダーであろうが撮りたいし、女の子も容姿端麗なだけでは僕は撮らないし、その人が「何かを持っているか?」という事が大前提。
BYSDNTCRY.に関しては2面性が大事だったりします。
僕は写真を撮っている時や絵を描いている時の精神状態がとても好きだから、一般社会的な生活を過ごしながらも、日常生活とはかけ離れている感覚を感じる事が出来る人を撮りたいんです。
写真を撮るという意味での表現、表現方法で影響されるされるものはありますか?
スノーボーディングとかスケートボーディングの写真は撮らなければいけない瞬間があるからこそ僕にとっては楽なんです。女の子を撮って結果的にアートとして作品集も出していますが、撮っている最中は「何がアートなのか?」自分でも分からなくなる衝動に襲われる時もあります。自分にとっての表現方法を常に進化させたいからこそ常に模索中なんだと思います。
前と比べて突き進んでいる時間と考えている時間、どちらが多いですか?また、スケジュールはどのように管理していますか?
光栄な事に、最近はアートショーのオファーも多く忙しいので、突き進んでいる感覚。秘密のノートはアイデアで埋まっているけど制作する時間がなくて悩む時もありますが、以前よりアイディアとかインスピレーションをジャッジしカタチにするスピードは格段に上がっています。
忙しくなったけれど=移動距離(移動時間)が増えているので移動中に考える事が多いです。スケジュールは常に iPhoneとMacで管理しています。
高田さんにとって、Snowboarding,Skateboardingとはなんでしょうか?
一生続ける遊び。
よく「色んな事ができますね」と言われますが、結局は、小学校の時からはじめたスケートボード、中学からはじめた楽器とスノーボード、それにまつわるアートやデザインであって、やってる事は子供の頃から変わってないんです。ただ今でも追求したいとか掘り下げたいという欲求があるから続けているだけ。
音楽をやっている時にアートの事を思ったり、アートの事を考えている時にスノーボードのアイデアが降りて来たり。
僕の場合はすべてが繋がっているので、スケートボード、スノーボード、コンピュータ、筆、楽器…などは、今では仕事にもなっていますが、使っている道具が違うだけで結局全部遊びから始まったものなんです。
高田さんはこれまで15年間、途切れる事なるスノーボード雑誌等に取り上げられて来ましたが、なんというか、あえてスノーボード業界には存在していないような感覚があるのですが?
ですね。
最高なスポンサーのお陰でこれだけスノーボードを続けさせてもらってますし、もちろんプロスノーボーダーという誇りはあります。
でも、スノーボードは僕の表現したい事のごく一部分なので、業界の流儀とか僕には関係ないし、その業界に染まりたくないんです。
スポンサーも、そんな僕のやり方と存在意義を理解してくれているからこそ人間関係はより深く信頼し合っています。
だから僕は、自分が滑りたい時に、滑りたい所へ行き、自分が残したい絵を残す。
ただ好きだから、ピュアに乗り続ける事が僕がスノーボードで表現する意味です。
高田さんにとって、ライフスタイルや仕事である一定のゴールはありますか?
5年前、10年前ならあったのかもしれませんが、最近はゴールをイメージしてないんです。
例えば、フジロックでUKクルーとしてアートを任されたり、社員が何千人もいる会社のロゴマークを任されたり、何よりアートやデザインで世界中を飛び廻るなんて、子供の頃には夢にも思っていませんでしたから。
これやったから何になる、どうなっていく、という目標や計画という思考が僕には無いんです。
ただ毎日、一生懸命、精一杯やるだけ。その過程で一つ一つ小さなチャンスやミッションが現れて努力して超える。
僕にとっては、それが快感でありそれを続ける為に努力する過程が辛くて楽しくて。でいいんです。
ドMなんで。
最後に
滑るフィールドだけではなく、出来ればフジロックやアートショーなどで作品に触れ、何かを感じて、その感覚をスノーボードやスケートボードに循環してもらえれば最高です。
今週21日の16時から都内でパーティもあります。是非みなさんと刺激感覚を共有する時間が持てたら嬉しいです。
今シーズンも志賀高原で滑っています。
是非、山で一緒にセッションしましょう!
如何だったろうか?
イベントやギャラリーで会う彼とはまた違った彼の人生観の一部を垣間みる事ができたのではないだろうか?
とても1インタビューだけでは彼本人を伝える事ができないと感じ、引き続きSBNではMADBUNNY=高田昭義インタビューを定期的にフィーチャーしていく予定です。
今週には東京でイベントが開催されます。
詳しくは下記よりご覧下さい。
世界リリースされたMADBUNNY 2作目となる写真作品集「loveless.」(オールロンドンロケ)のPhoto Exhibition Tour.
これまで、ロンドン、ベルリン限定で発表して来たBLUE PRINT(ブループリント)作品を携え、MADBUNNYが凱旋帰国。
ロンドン、ベルリン、湘南、福岡、広島、福井、京都、群馬…
レッドブルやアメリカンスピリットといった強力なサポートを携え駆け抜けたフォト&インスタレーションツアーのファイナルを東京にて開催します。
21日のOPENING PARTY!当日はMADBUNNYともゆかりのある盟友Shingo*420がDJとしてパーティに華を添え、
フタバのフルーツも全力サポート体制。
22日は展覧会として作品をじっくりお楽しみいただけます。
また、作品集やブループリント作品、ツアー限定アイテム等の販売も行います。
個展のほとんどを海外で行うMADBUNNY。実に3年ぶりの東京個展!
皆様のご来場お待ちしています。
madbunnyサイトはこちらから
bysdntcryサイトはこちらから
【BYSDNTCRY. / NewBookLaunchShow / Tokyo Final Party!!!】
日時: 2013年12月21日(土) OPEN16:00 ~
会場:PANOF E STUDIO (渋谷区恵比寿南1-14-9ホワイトレジデンスB2)
料金:¥2,000 (w/ 1Drink & some fruits)
問い合わせ: 080-4207-5741(岩槻)
イベント詳細についてはこちらから
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