FORESTLOG DESIGN Present SNOWBOARD TRIP PROJECT “TRIP FOR REST”
旅と切っても切り離せないスノーボード。「スノーボードと旅」をテーマに、映像、写真、文章でお届けするオンラインコンテンツプロジェクトが今作より始まりました。
日本・カナダ、世界各地を旅する中での体験、出会う景色や人々、その土地ならではのライディング、初めて見る景色、まったく異なる雪質、ファーストトラック。
ローカルには地元民ならではの山の冒険や、街から山へ向かう人にも、日本から海外へ行く人にも。旅する中で新しい物と出会い、仲間とのかけがえのない体験は誰にでもあるはず。
旅する事から味わえる体験は、きっと人生の新しい可能性を広げてくれる。そして、いつも新しい可能性を切り開くのは自分自身。
TRIP FOR REST 心に刻まれる旅へ出かけよう。
TRIP FOR REST trip.1 Tateyama
TRIP FOR RESTの始まりを告げる最初のTRIPは富山県の立山エリア。
日本で唯一の氷河や、雷鳥、黒部ダム、モクモクと煙を上げ続ける地獄谷。
世界的にも有数の豪雪地帯に数えられ、冬には氷点下20℃、強風、吹雪の日々。
そんな立山へは観光ルートが整備され、2450mの室堂ターミナルまでバスやケーブルカーを乗り継ぎ手軽に行く事が出来る。
そして日本では中々見られない山模様や雪景色が見られる場所だ。
11月いっぱいで厳しい冬に備えクローズするのを前に、11月中旬から最終日まではたくさんの雪山好きが訪れる場所でもある。
昨年は多くの人が亡くなった雪崩の日に立山に行き、山の脅威を改めて感じた。
先シーズンの春の最後のスノーボードにも立山を訪れたが、生憎のコンディションで滑るというよりは登って景色を見て、テントで雨に打たれ、短期間では全くと言っていいほど立山を知れない、滑れない事を改めさせられた。
これからのシーズンを前に立山らしい良い斜面を滑りたいと思い、4泊5日のテントトリップを計画し、ライダー小西隆文(コニタン)とカメラマン梶田敏之(KAJI)とそして僕、藤田一茂で立山へ向かった。
久しぶりの大きい荷物に身体か慣れない自分たち。
オフシーズンもトレーニングはしているが、中々それだけに時間が作れないのが現状で、30kgくらいの荷物は自分の足りてない所を知らせてくれるには十分な重さだ。
荷物を背負っているのはカメラマンのKAJI。このバック以外に、もう一つ撮影用のバックパックとスノーボード。
カメラマンも良い映像を撮るために、ライダーより重たい荷物を抱えなければならない。
映像も写真も両方撮るKAJIは、ビデオカメラに一眼レフ、三脚、5日間撮るためのバッテリー、撮影道具はかなり多い。
大きさで言うとビデオカメラが大きいが、実際には一眼の方が重たく、意外にも一番重たいのは三脚の動かすヘッドの部分。
良いヘッドは重たいがその分良い動きをしてくれるらしく、三脚の足よりヘッドが重たいという事はあまり知られてないだろう。
バックカントリーの撮影となると滑る能力も歩く体力も知識も必要になってくる。
滑る技術がないと、そもそも山に登る事がかなりリスクが高いし、体力が無ければ効率よく撮影も出来ない。
良いアングルから撮るためにはカメラマンも危険なところへ向かわなければならないし、別行動になる事が多い。
若いカメラマンで山を撮りたいと言う人はなかなか少なく、山好きなKAJIは僕らにとって、これからも一緒に成長して行きたい心強い仲間だ。
テント場からの眺めは最高ー!と何回言っても大丈夫なくらい最高で、立山の山々や、富山の街や海も見渡せる。
朝から寝るまで移り変わり続ける空や山の色はずっと見ていても飽きる事はないし、寝るのか勿体ないと思わせてくれるほど。
でも、山の上での生活は17時半には真っ暗で、早寝早起きが基本。
2日目は右奥に見える山の頂上のもう少し奥にある別山まで向かった。
久しぶりのハイクにしんどさを感じながらも、足裏から伝わる雪の感覚や真っ白な景色が力を与えてくれる。
振り返ると、奥大日岳を背に登るコニタンとカジが見え、バックの山にそそられる自分。
どうやら元気なのは自分だけみたいだ。笑
KAJIは撮影スポットへ、自分たちは目的の斜面のドロップポイントへ向かう。
岩場の険しい稜線を乗り越え、ドロップポイントからKAJIを見るとかなり気持ち良さそうなところに立っている。
雲の上にある山の稜線、反対側に落ちて行くんじゃないかと心配になるような場所に見えるKAJI。
撮影スポットに向けて自分たちより先にファーストライドする姿をコニタンと見届け、自分たちもそれぞれのラインの準備に入る。
僕とコニタンも今シーズンのファーストライドにはもって来いの斜面。
程よい斜度に、程よい地形。最高という以外に言葉が出てこない。
久しぶりの雪の感覚をしっかりとエッジで掴んでいく。
少し固めの雪にびくびくしながらも、シュートを抜け、最後は気持ちも解放されたロングターン。
僕が先に滑り、下からコニタンにカメラを向けた。
コニタンの笑顔からも最高具合がビシバシと伝わってくる。
前日からの狙い通りの場所を滑れて、シーズンインのラインはご満悦だ。
歩いて苦労した分、良い経験が得られる。
良い事や良い物は簡単には手に入らないという事は何にでも言えることだ。
夕方には立山特有の綺麗な夕日を拝む事が出来た。
誰もが写真を撮りたいと思うような夕日で、写真を撮っている人がたくさんいる。
その中に富山クルーで来ていたライダー西川雄太がいた。
何か企んでいるのは一目瞭然。その1カットを盗撮。
カナダで一緒にキャンプ生活してたHEART FILMSのスキーヤー仲間や、夏に富山で仲良くなった人たち、北海道から清原ゆうた君たちも来ていたり、新しい友達もたくさん出来たり。
テント場の半分は友達で、和気あいあいとした空気は何か不思議な気分。
お互いの家(テント)を見合ったり、夜は一緒に飲んだり。
雪山に行けば誰かに会うもので、スノーボーダーもスキーヤーもプロもガイドも趣味の人も、雪山という共通の場所がたくさんの人と繋がりを与えてくれる。
昔、パークで大会に出ていた頃とは違った楽しみを雪山ではいつも感じさせてくれる。
夜になると綺麗な星空が現れ、月が明るい日には自分や山の陰が見える事も。
写真好きな僕とKAJIはカメラ片手に写真遊びへ。
ある日は一晩中、強風&雨&霙で、朝起きたらテントが飛ばされたのか半分くらいになっているという日や、ある日は一気に雪面が氷になり、滑落の恐怖を感じさせられたり。
決して楽や安全ではないけど、しっかりとリスクを背負って、頭を使って行動すればきっと素晴らしい経験が出来る雪山。
3回目の立山TRIPで色々と歩き回り、回数を重ねるごとに立山の魅力が広がっていく。
全てを歩いて行動し、天気にも左右され中々知る事が出来ない立山だが、日にちを重ねるごとに一歩一歩知らなかったエリアへと踏み込む事が出来る。
世界各地、自分のスノーボードライフをかけても行けない山はたくさんあり、結局は選んだ場所しか知れないわけだが、立山はこれからも何度も訪れたい場所。
一歩一歩、焦らず慎重に、山の導く場所へ訪ねたい。
最後の週末はたくさんの人で賑わいをみせた立山。
見ていると、個人というよりはガイドツアーの参加者が多いようだ。
雲に覆われコンディションは良くなかったが、立山は雪山の魅力に取り憑かれた人たちの笑顔で溢れていた。
これからの雪山シーズンに向けて、再確認し気合いを入れ直す事が出来た4泊5日。
コニタン、KAJI、たくさんの友達との出会い。
そして、自分たちを迎え入れてくれた立山。
これからも感謝の気持ちを忘れず、雪山に挑みたい。
立山の次は長野県・白馬へ。
本格的なシーズンが始まりを告げた。
FORESTLOGのWEBサイトにも写真や日々の出来事をアップしています。
Text : FORESTLOG DESIGN (Kazushige Fujita)
Photo : Kazushige Fujita / Toshiyuki Kajita
Rider : Kazushige Fujita / Takafumi Konishi
Spot : Tateyama, Japan
彼独自の目線から綴られるコンテンツが特設サイトにて定期的に公開されています
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