小川凌稀 INTERVIEW 〜怪我を乗り越え見据える先〜

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Photo: KentaRAWmatsuda
15歳で単身ウィスラーへ留学。カナダの広大な山を滑り込み、自らのスタイルを築き上げてきた小川凌稀。2シーズン前から活動の場を日本に移すと同時に、国内トップライダーで構成されたクルーSTONPのMOVIEでフルパートを獲得。そして先シーズンはDirty Pimpとして、3度の骨折を乗り越え気合いでフルパートを残したリョウキ。来るべき今シーズンに向けて、ストリートの舞台で活躍する小川凌稀にインタビュー。

リョウキがスノーボードを始めたのはいつ頃?
小学3年生の頃ですね。おばさんがもともとスノーボードをやっていた影響もあって、家族みんなで軽井沢に滑りに行ったんです。そしたら1回目からがっつりハマっちゃって(笑)。そこから毎週末滑りに行くようになりました。中学生になるまでは本当にいろんなスキー場に転々と滑りに行ってました。たまたま、ちっちゃいジブコンテストに出た時があって、そこで今も一緒に動いているマサト(戸田真人)と初めて出会ったんです。ジブを始めてからはSNOVA溝の口にも通い始めて、マサトも通ってたからよく一緒にいました。マサトは兄ちゃんのマサキくん(戸田聖輝)といて、自分も色々教えてもらいました。当時、小学生か中学生だったけど、マサキくんからは少しでもトリックの形がダサかったらツッコミが入ってたので、小さいながらもこだわって滑ってましたね。あそこでスタイルへのこだわりっていうのを植えつけられたから、今でもスタイルへのこだわりは人一倍強いと思います。

Dirty Pimpクルーの撮影にて。左からマサト(戸田真人)、リュウセイ(高橋龍正)、リョウキ、マサキ(戸田聖輝)
Dirty Pimpクルーの撮影にて。左からマサト(戸田真人)、リュウセイ(高橋龍正)、リョウキ、マサキ(戸田聖輝) Photo: KentaRAWmatsuda

15歳からウィスラーをベースにスノーボードをしていたと思うんだけど、向こうではどんなふうに過ごしていたの?

中学を出てカナダのウィスラーにあるCSBAっていう専門学校に入って、英語とスノーボードを勉強してたんです。海外でスノーボードができるっていうのが魅力的で、単身ウィスラーへ行きました。CSBAに入学して1年目の時は、英語は聞き取れても話せないレベル。でも2年目、CSBAが秋休みの時に日本語を話さずに1ヶ月ずっと英語だけを話していた期間があったんです。それまでは英語に自信がなかったんですけど、1ヶ月日本語を話さなかったていうのが自信になって一気に英語も話せるようになりましたね。そこからローカルの輪も広がりました。 ウィスラーのゲレンデでは、とにかくうまい奴の後をスネークする毎日。時にはリフトも一緒に相乗りして、そしたら向こうから話しかけてくれて自然と友達も増えていったり(笑)。CSBAを卒業してからは、ウィスラーにあるTHE CIRCLEっていうスノーボードショップで働かせてもらっていました。自分は都内出身で、家から歩いてスキー場に行くっていう環境に憧れを持っていたんですよね。ウィスラーでは、夏はスケートボードと釣りして、湖行ったり、マウンテンバイクやったり、最高でした。今でこそストリートやってるんですが、ウィスラーにいた時はストリートをやったことなかったんです。というのもウィスラーの周りってストリートのスポットが少なくて。それに山がデカくて、パークも面白いし全然飽きなかったから。

日本に帰ってきてからは、STONPとDirty Pimpで活動していたんだよね?
Dirty Pimpとはマサキくんがキッカケで撮影するようになりました。STONPで活動する前のシーズン、Dirty Pimpの撮影で初めてストリートをやりました。コロラドとソルトレイクで撮影したんですけど、その時に行ったスポットが今じゃ考えられないくらいヤバいレイルだった。ほとんど雪がない状況で「100%抜けるわ」と思って挑戦したんですけど、50本やって1本もメイク出来なかった。その時は、本当に悔しい思いをしましたね。今は経験を積んできてるので、あの雪の量であのスポットなら絶対やらないですけどね(笑)その時の映像がコレですね。

STONPで活動するようになったキッカケは2014年に代々木公園でやっていたSNOW BANK PAY IT FORWARD(SBPIF)。もともとSTONPの話は周りからちらほらと聞いてはいたんです。でも、せっかくなら直接カズくん(國母和宏)から声をかけてもらいたいと思っていました。SBPIFで初めてカズくんと会ったんです。そしたら、レイルジャムで優勝した次の日にカズくんから直接連絡が来て「リョウキ、STONPで一緒にやらない?」って。もう本当に嬉しすぎて、絶対ヤバいフルパートを取ってやるってかなり気合い入れましたね。本当はその年カナダに戻る予定だったんですけど、こっちで活動することになって1シーズンまるまるストリートの撮影で動きました。その時はフルパートを取るっていうモチベーションもハンパじゃなかったですね。脱臼癖に苦しんだり、肋骨が折れたりもしたけど、ロキソニン飲みながらトリのスポットまでを残し続けました。

先シーズンはadidas Snowboardingの海外クルーとも撮影したんだよね?
そうですね。RIDEライダーのAlex Shermanから連絡が来て、せっかくならマサトも一緒にってことで二人で一緒に北海道へ行きました。海外のクルーがルイーフ・パラディスとデレク・レバーとアレックス、それに自分とマサトでした。ただ北海道に行く直前のストリートでヤられて自分はほとんど滑れなかったんです。撮影が始まって、しょっぱなからマサトがいいトリックを決めてて、俺も魅せたいっていう若干の悔しい気持ちと日本人が海外のクルーに認められるのが嬉しい気持ちが半々でした。ただ、今回は滑る側じゃなくてサポートする側としてだったんですけど、外からの目で見ることでかなり勉強になることがありました。まず、ルイーフなんかはどんなスポットでもとりあえずスコップを持ってセッティングを始める。自分たちはスポットを見て、無理そうだと思ったら準備もせず次のスポットへ向かうんですが、彼らは違った。結果的に、作ってもやらないスポットもあるんですが、とりあえずやってみるっていうスタンスなんですよね。出来る出来ないの切り替えもすごく早かったです。実際、「こんなの画になるの?」って場所でも映像で見たら結構良かったり。アプローチの取り方、ラインの遊び方、板の乗り方、全てが違ってスポットを見る目も変わりましたね。夏に行ったハイカスケード・サマーキャンプでは自分とマサトの2人でadidasのクリップも作ってもらえて、モチベーションもかなり上がりました。

adidas Snowboarding 北海道撮影にて Photo: Gian
adidas Snowboarding 北海道撮影にて Photo: Gian

adidas Snowboardingのギアを使い始めたのは先シーズンから?
そうですね、先シーズンからですね。SUPERSTAR ADVっていうブーツを履いているんですけど、何よりも見た目がめちゃくちゃカッコイイです。スニーカーみたいでストリート感全開だし、履き心地も凄く良い。ストリートって写真にしろ、映像にしろブーツとかギアが見えるんですよね。だからこそカッコイイものを使いたい。クラシックな紐でスニーカーみたいなオシャレなこのブーツは最高ですね。

ハイカスケードキャンプにて
ハイカスケードキャンプにて

 

小川凌稀使用モデル。激しいストリートでも安心感のあるファッショナブルなブーツ
小川凌稀使用モデル。激しいストリートでも安心感のあるファッショナブルなブーツ

SUPERSTAR ADVについてはこちら

最後に、今シーズンの予定と意気込みを教えて?
今シーズンは、Dirty Pimpクルーとして日本で撮影をしたいと思っています。以前は、結構海外志向だったんですけど、最近海外のクルーも日本のストリートを攻めに来ていて日本にもまだまだ海外に見せられるスポットがあるなって気づいたんです。で、日本人なのにそこで海外のライダーにいい技でヤられているのが悔しかった。日本に住んでて日本のヤバいスポットやらないのはダサいなと思って。あとは、海外のライダーとのコネクションも出来たし、Dirtyだけじゃなくて海外のライダーをアテンドして一緒にやりたいと思っています。先シーズンは怪我で思うようにいかなかった部分もあったけど、完治して不安はない。今シーズンは全力で攻めて行きます。

adidas Snowboardingの撮影中に残した1枚
adidas Snowboardingの撮影中に残した1枚 Photo: Gian

小川凌稀 PROFILE 東京都足立区出身、1994年生まれの22歳。10代の頃からNEOIMPRESS、CK4VM、SCLOVER、Dirty Pimpなど多くのMOVIEに出演。中学卒業後は、ウィスラーへ留学しスノーボードのスキルを磨いてきた。華麗な板さばき絞りきったスタイルでパーク、ストリートを主戦場にパートを残している。