1995年、世界初となるオールカーボンボードを発表以来、常に最高のフィーリングを追求し続けてきたYONEX。そんなYONEXが、2016/2017シーズン満を辞してFREERIDEギアの未来を切り開く3つのアイテムをリリースする。ボードはCENTROid(セントロイド)、バインはWIGGLE BACK(ウィグルバック)と新たな技術を開発し、ブーツは天然皮革を使用した高級モデルPREMIUM TRIPPERを開発。ライダーと開発者が語るそのギアの魅力に迫る。
メンバー: 安藤輝彦、八代一志、中野智洋、青木 亮、八重樫 洋和(YONEX開発担当)
FREERIDE BOARD: CENTROid CONSTRUCTION
YONEXといえばカーボンというほど、ブランドとしてカーボンのイメージが強いと思うのですが、実際皆さんのその性能、乗り味についての感想を聞かせてください。
安藤: 20年近く使っていて思うのは可能性の無限さですね。軽いし、跳ねるし、その上で乗りやすい。なんでも対応してくれるので本当に使いやすいです。
青木: 僕はパイプがメインなんですが、何と言っても反発力があってよく跳ねるところ。あとはターンの後半の伸びの良さなんかも気に入っていますね。
中野: 僕はお店をやっていることもあって、いろんな板に乗ります。ある試乗会で他ブランドのボードで「すごく良いな」と思って、次に乗った板がYONEX。「え、何これ」ってなったのが最初の印象です。良いなと思ったボードよりさらに乗りやすくて(笑) 1回乗っちゃうともう他のブランドの板乗れなくなりますよね。
八代: ひとことでいうなら、ライディングもトリックも楽。初めての人は軽いし、回しやすいし、すごく自由です。あとは比べ物にならないくらい長持ちしますね。トリックを練習する人なんかは、他のブランドなら1年に数本消耗するところをYONEXは1シーズンがっつり使っても大丈夫です。
ブランドの中でどのようにフリーライドギアを開発、進化させてきたのでしょうか?
安藤: そうですね。今に至るまでいろんなスタッフが入れ替わり、開発に携わってきたんですけど、今はフリーライディングの世界で活躍している見野(ライダー: 見野雄祐)の意見なんかが大きい割合を占めていますね。自分はより一般のスノーボーダー目線でゲレンデでどうだっていうのをメインに開発に携わっていますね。特にユーザーがより長くスノーボードを楽しみ続けられるギアを開発しています。
八重樫: 昔は、フリーライドのボードって、みんなあまり乗らなかったんですよね。でも、時代が変わってみんながキャリアを重ねていく中で、ライダー達もフリーライドのボードを使うようになっていったんです。乗って評価できるようになってきたからこそ、今の形を作り上げて来れたと思っています。
今シーズン、フリーライドボードに採用された新技術CENTROid、そしてGLIDEというボードの誕生について聞かせてください。
安藤: とにかく板の操作性がすごく楽ですよね。スイングウエイトが軽い。完全に新規のコンセプトなんですけど、センター乗りを意識した作りになっています。
八重樫: このコンセプトがあって出来た板がGLIDEってモデルです。センター乗りを意識したこのシステムがあっての形なんです。よくある形にはしたくなくて、アウトライン、テイル形状などいろいろ試行錯誤してこの形になりました。
安藤: 初め、この形にNGを出したんです。というのもなんとなくのフィーリングで厳しいだろうと感じたから。ただ、出来上がってみたら大正解だった。
八重樫: スノーボードのテイルでこの形はあんまりないんですよね。YONEXらしいもの、自分たちだけのものを作ろうと思って。このCENTROidってテクノロジーは他にはできないものなんです。YONEXのカーボン技術があるから初めて出来るもの。ライダーに試乗してもらった時、全員が全員、良い評価を下してくれて嬉しかったですね。
安藤: ある程度スピードだったり、自分の踏める範囲であればどこまでも食いついていくんです。それは僕もビックリしたところで、柔らかいところからハードなところまで自由に行ける。センターに乗っているから乗っていても楽なんです。今までフリーライドボードに乗ったことのない人でも違和感なくスムーズに乗れると思いますよ。
八重樫: 一般的なフリーライドボードってノーズが重たくて、テイルに乗ったら減速してしまって。やっぱり理想はセンターに乗っているのが一番良いんじゃないかなって思います。形状はディレクショナルでも乗っててセンターに乗ってる感覚をこの板で実現できましたね。
BOOTS & BINDING : accublade® SYSTEM
accublade®システムについて
YONEX独自のステップインシステム。かつてシマノが開発採用していたシステムをYONEXが継承、進化させ、現在に至る。つま先、かかとの2点をロックシステムで固定するためレスポンスが良く、ノーズ・テイル方向にはフレキシブルに設定するなど、細かなフィーリングの調整が可能なシステム。素早く、簡単な着脱の利便性はもちろんのこと、それ以上にライディングのパフォーマンスを引き出すポテンシャルを秘めていて、ライダーにも非常に高い評価を得ている。
次にXTFに採用されているWIGGLE BACK(ウィグルバック)についてはどうですか?
安藤: ノーバックで頼りきれない部分を払拭したのがこの形ですね。
八重樫: これは、accublade®っていうシステムがベースにあっての形です。そもそもすごくレスポンスのいいシステムなんで、以前からパウダーではハイバックを外して使ったりしていたんです。でもそれでは圧雪の硬いバーンにいくとちょっと不安定なところがあって。それでハイバックをなくして、ヒールカップにその役割をもたせたイメージです。
安藤: まさに、accublade®システムのレスポンスのあっての形なんです。足裏のトゥーとヒールサイドの2点でついているので、レスポンスがいいからそれ以上はいらない。ヒール加重で何もないって感覚ではなくてしっかりと止まる感覚はある。ホールド力もしっかりとある。いらないものを削ぎ落としてシンプルで動きやすいですよね。もちろんそのぶん軽くなりました。
八重樫: 普通のaccublade®からハイバックを外せば?と捉えられがちですが、ヒールカップに剛性をもたせていたり、幅の厚いものにしていたりするので単純に取り外したものとは違います。
天然皮革素材を採用したブーツ、PREMIUM TRIPPERの使用感はどうですか?
八代: バックカウンターってヒールの補強材が入っていないので柔らかくて足首の操作性がいいですね。エッジングよりも面でのコントロールを意識していますね。ハイクもしやすいし、あとはハイクダウンも楽ですよ。
八重樫: やっぱり天然皮革を使うメリットって質感とか育てる楽しみですね。オイルを凝縮させて染み込ませています。そうすることで傷がつきやすいけど防水性が高まるんです。TRIPPERって名前をつけた時点で、以前の(シマノが開発、販売していたもの)ものと比較されるのは覚悟していました。だからこそ、納得できるものが作れるまで市場には出したくなかったんです。ようやくそれを形にすることができました。