X-TRAIL JAM史上もっともハイレベルと評された今回の大会。今回で第6回を数えるが、色々な意味で感慨深い大会となった。クォーターパイプとストレートジャンプの二本立てレポート!
水道橋駅を降りて東京ドームへ向かう道。 道行く人たちのカッコがソレっぽい。ナニっぽいって?それはスノーボーダーっぽいのだ。
ジャケット、キャップ、バックパック…スノーボードブランドのアイテムを身につけた人たち。 スノーボーダーのファッションはやっぱりスノーボードスタイル。
うん、やっぱ醸し出してるよ。
一足早く冬型の気圧配置が05-06シーズンの始まりを告げた。
そして12/10・11。 今シーズン最初のビッグイベント「X-TRAIL JAM in TOKYO DOME」が開催された。やっぱ気持ちアゲてくれるね。さぁ、本格的にシーズン突入ってことでしょ。さて今回で6回目を迎えるこのイベント、年末恒例と云えば恒例だが、こういうイベントが東京のど真ん中で行われ、そしてソレを楽しみに毎年多くのスノーボーダーたちが集まるってことに大いに意味がある。
初日となる12/10(土)はクォーターパイプのコンテスト。どうしてもストレートジャンプの華やかさがクローズアップされがちだが「いやいやクォーターパイプのジャムセッションが楽しみッスよ」っていう濃〜いスノーボーダーも少なくない。
まずは日本人予選。
9名がエントリーして5名が勝ち上がるはずだった。しかし、練習中に招待選手のロメイン・デ・マルチが左脚前十字靭帯損傷、マッズ・ジョンソンが脳しんとうということで勝ち上がり枠が2枠追加され、7名の勝ち上がりとなった。
日本人予選を勝ち上がったのは上位から笠原啓二郎、工藤洸平、鈴木拓巳、山口睦生、増田塁揮、マグン、鈴木翔太の面々。
残念ながら、ネット投票No.1の布施忠と、鈴木伯が敗退。忠はのっけからワンフットにトライしてもう一歩のところでメイクできず。それでも会場は大いに盛り上がった。
続いて招待選手を含む準決勝・ジャムセッションだ。
紹介ジャンプでまたまたライオがやってくれたよ。スタート地点には怪しいコートを身にまとったライオが…?ニール・ハートマンの選手コールが終わるやいなや、変態おじさんのようにコートを脱ぎ捨てたライオ!なんとコートの下にはメイド服?!
あっけにとられているオーディエンスに向かってテレビカメラ越しになにやら紙を差し出す。
そこには「Salomon 萌え〜」の文字が…。
でもって、スカートひらひら、パンツちらちらさせながら紹介ジャンプへ突入。 番長、やっぱあんたにゃ負けるわ。
▲ 紹介ジャンプ メイド姿で登場のライオ!キモ可愛い?
準決勝ジャムセッションはA・Bグループに分かれ各20分づつ行われた。
Aグループの大将はやっぱりテリエ・ハーコンセン。やっぱり今年も魅せてくれるね。
北欧勢のアンティ・アウティ、リスト・マティラもがっつりメイクしてくる。
日本の若手たちも負けちゃいない。
14歳の増田塁揮は果敢にハイエスト・エアーを狙って、予選最高の4m70cmをマーク!
15歳の工藤洸平はサトゥ720、サトゥ900にチャレンジ。
うん、君たちががんばっているかぎり日本のスノーボードの未来は明るいぜ。
▲ 満身創痍…この悔しさを来年に!
Bグループもまたまた熱い。
我らの番長ライオは、終始超ぶっとびのハイエスト・エアー狙い。会場が沸きに沸く。リップにひっかかり傷だらけになりながらも時間ギリギリまで挑戦。今年も6mオーバーは飛んでるが、とうとうメイクできなかった。
初出場ながらいろいろなワザを繰り出すニコラス・ミューラー。
昨年の覇者アンディ・フィンチは、まず高い。そして巧い。でもまだ本調子じゃないかな?
ヘイキ・ソーサのバックサイド720は超ヤバい。
鈴木拓巳はアールに合ってるのか、メイク率が高い。
弟のクールガイ鈴木翔太も高さじゃ負けていない。
準決勝は、A・Bグループまとめて上位6名が勝ち上がる。
結果は、1位から順に、テリエ・ハーコンセン、ニコラス・ミューラー、ヘイキ・ソーサ、リスト・マティラ、アンティ・アウティ、アンディ・フィンチの6名となった。
体調不良を圧して、さらに“特攻”の鉢巻まで締めて、最後まで果敢に攻め続けたライオも残念ながら敗退。日本人最高位は7位の増田塁揮だった。
ところがここでセッション中に頭を打ったヘイキがファイナルをキャンセルしたため、7位の塁揮が繰り上げでファイナルへ出場することになった。つまり弱冠14歳の塁揮が唯一の日本人ファイナリストとなる。同時に来年のシード権を獲得。X-TRAIL JAM史上最年少のシードライダーが誕生した。さて塁揮、ファイナルではこのメンツを相手にどんな戦いを見せてくれるか楽しみだ。
休憩時間を挟んでファイナリストたちがスタートゲートに集合する。
いよいよファイナル・ジャムセッションがスタート!
テリエ、リスト、アンティはヘルメットを装着して登場。はっきり言って本気(マジ)だ。
一巡目は各自軽めに流して様子をみた。そして二巡目からやつらの本気が見え始める。
テリエは、キッカーを渋〜くクレイルで流し、そして優雅なメソッドからのトゥ・フェイキー。
リストはノーズグラブのB360。
ニコラスも同じくノーズグラブ、しかしこちらはトゥ・フェイキー。
アンティはスムーズなB540ミュートグラブ。
昨年の覇者アンディはスピードを乗せたアプローチからビッグ・トゥイーク。
塁揮はキッカーでスピードをつけて狙って行ったが、着地でひっかかりバーチカルに入れなかった。しかし何かを狙っている様子だ。
テリエの3本目かなりの高さが出たアーリウープのメソッドをメイク。
アンディはノーマルテールグラブから身体をひねって持ち換えるシートベルトをメイク。また珍しいワザを出してくるね〜。
▲北欧コンビ!左:アンティ・アウティ 右:リスト・マティラ
▲左:アンディのF900。スタイル入れてくる
右:ニコラスのワンフット・マック炸裂!見て、この高さ
しっかし今日のテリエはキレまくり。キッカーでのバックフリップからバーチカルに向かいマックツイスト!
負けじとニコラスが身体の柔らかさを生かしたエビ反りのマックツイスト。う〜ん負けてない。さらにニコラスはアーリウープ540を猫のように柔らかく回す。ウ、ウマい!
徐々に調子を上げてきたアンディはデカいロデオ720、F900とメイクしてくる。
残り時間も少なくなって、ついにテリエが5mオーバーのトゥイークを決める。これはハイエスト行ったか?!
おっとニコラスがテリエのお株を奪うワンフットマックを完璧にメイク!しかも高い。
これに刺激されたのかテリエは、キッカーでバックフリップto180をメイクしてそのままスイッチでバーチカルにエントリー、SWマックツイストを決めた。
リストも高く、そして滞空時間の長〜いゆっくりと大きなマックツイストをパーフェクトメイク。
終盤に来てみんなプッシュしまくりじゃない?
何本目になるのかわからないくらい飛んでいるテリエが、今度はマックツイストの720???ノーマルのマックツイストかと思いきやランディングのギリギリでプラス180回した。こんなの見たことない!
続くアンディがまたデカ〜いアッパーデッキを完璧にメイクした。この人たちは疲れを知らないのか?
塁揮はもう終始ハイエストを狙い、そして何度もリップ落ち。日本人予選からの疲れか?しかしスピードの乗りにくい小さな身体で何度も何度もバーチカルに向かっていく。その姿を観客も固唾を飲んで見守る。終了直前の1本は、ほとんどメイクしたかのように見えたが惜しくも失敗。だがその姿に場内から惜しみない拍手が贈られた。
▲キターーーー!
テリエのメソッド!!ハイエスト・エアを決めた瞬間
結果は、もう言うまでもない。テリエの圧勝。しかも5m10cmのハイエストエア賞のおまけ付き!
2位はニコラス・ミューラー、3位アンディ・フィンチ。
テリエはクォーターパイプ4度目の制覇となった。
そして優勝インタビューでテリエからまさかの発言が…。
それはコンテストからの引退。
16歳で世界の頂点に立ち、31歳で今日のこの日を迎えたテリエ。
涙ながらのコメントには、この15年間を締めくくる、熱い想いが込められていた。
“GOD OF SNOWBOARD” Terje Haakonsen, Takker De meget mye.
report:Mr./ photo:ALI