7月24日から30日の1週間、富山県にある富山KINGSを中心に「夏にしかできないアソビ型」を提案する宿泊型スノーボードキャンプイベント「VINTEL SUMMER SNOWBAORD CAMP(以下VINTEL)」を仲間とともに開催した。
未成年を対象にしたこのイベントはスノーボードはもちろんの事、共同生活をしながら富山の自然の中で遊び、物作りや音楽に触れ「スノーボードを通じて出会った仲間と新しい体験を共にし、人として成長する」事を目的としている夏のスノーボードキャンプ。全国から26名の子供達が集まり夏休みの始まりを全力で楽しんでいた。そんなVINTELの様子をこのイベントに携わってくれたスタッフや関係者を代表して僕がお伝えします。
by KAZUSHIGE FUJITA
”様々なタイプのプロライダーと生活を共にする”
まず第一に気になるのは「誰が子供たちのお世話をしてくれるのだろう?」という事ではないだろうか。VINTELでは様々なタイプのライダーたちやトレーナーが起きてから寝るまで常に生活を共にしている。
まず、JAPAN PARK SCHOOLの校長を務める「阪西 翔」、WOOT SNOWBOARD PARK SCHOOLでコソ練CAMPを行う「西村大輔」と「加賀大貴」。彼らは通年でスノーボードのレッスンを行い、スノーボードのレッスンに関してのプロフェッショナル。
そして、世界の大会や撮影を巡る「藤森由香」、様々な場所を巡り映像制作や自由なスノーボーディングを提案している「藤原 恵利華」、アラスカなどバックカントリーでの撮影を中心に活動している僕「藤田一茂」。スタッフはみんな日本や世界の様々な場所で感じた自身のスノーボーディング感や経験を子供達に伝えてくれる。
トレーナーの「松本貴嗣」は子供たちのメンタル面のケアや目標の立て方を教える他に、今回のコーチ陣のコーチングの方針や声かけ、より良く子供たちと関わる方法を提案をしている。
そんなコーチたちは学校の先生と同じような役割を担い “喜怒哀楽” 子供たちの沢山の感情に寄り添い生活を送っている。何日も一緒にいれば何かしらのトラブルは付き物であるが、3年目となると手馴れたもので父母、兄弟のように接してくれていた。小さな子供達にとっては親と離れて生活する事自体が大冒険である。そんな子供達の気持ちを理解する姿勢をコーチ陣はしっかりと持っていた。
”自分の事は自分でやる”
起きてから寝るまで全ての事を子供たち自ら行うのだが、洗濯や着替え、パッキングこれらが子供たちにとって普段にはない作業になるのではないだろうか。もちろんコーチ陣もサポートはしているが、基本的には子供たち自ら行う。洗濯機はコーチに回してもらえるが洗濯物は自分で干さなければならないし、富山KINGSに行く準備も自分で行う。濡れたブーツも自分で干す。KINGSで滑ると毎回濡れるので洗濯や乾燥は毎日行う。親の大変さも身に染みるのでは?と思ったが、一番それを実感していたのは実はコーチ陣達だったりする。
学校と違うところと言えばスケジュールが全部遊びであるところ、ルールさえ守っていれば基本的には自由という事であろうか。集合時間を守れれば基本的に何をしていても大丈夫なのだが、実際にはアクティブなスケジュールが詰め込まれているので夜に寝ない子もほとんどいない。寝不足なんて事もたまにあるが、それは自分の責任。自分の失敗から色々学ぶ事で次の失敗が減る事に繋がるのではないだろうか。子供たちが普段どこまで自分でやっているのかは分からないが、親がいないこういった環境での経験や失敗が、子供たちの心を動かす成長に繋がるのだと思う。
”目標を明確に持つ。そして富山の自然、夏を感じる沢山のアクティビティで遊びたおす”
VINTELではまず、トレーナーの松本先生によるワークシート記入がある。そこで目標を明確にする訳だが、この約1時間の授業で子供たちの目の色が変わる。講義の内容はお伝えする事が出来ないが、VINTELの始まりと終わりにこの講義があり、親御さん向けの講義 ”子供との関わり方” というものも用意されている。これは今年度から取り入れている物だが、子供、そして親御さん共々、新しい考えを取り入れる良い機会となってもらえたようだ。
スノーボードを通じて出会った仲間と様々な経験をするという事で、今回は川やディスクゴルフの他にも、富山のバンド「農MUSIC農LIFE」とコラボしたキャンプファイヤーでは15種類くらいある沢山の楽器に触れ音楽のバイブスを感じていた。「音楽はノリ」と子供たちに様々な楽器の使い方を見せる彼らに釘付けの子供達。家に帰って楽器をねだられた親も少なくないのではないだろうか? 見た事のない楽器に興味津々の子や彼らを真似て何人かでセッションする子たち、音楽の楽しさは確実に伝わっているように感じられた。
オリジナルTシャツ作りでは自ら柄と色を選び自分でプリントをする。大人でも面白いであろうこの時間は中々経験した事がないのではないだろうか? 自分だけの世界に一枚のTシャツを作る。子供たちの個性に溢れたTシャツが出来上がり早速着て滑っている子も多かった。最後にはコーチ陣もTシャツ作りを行い、子供たちと同じように目をキラキラとさせていたのは印象的だった。
自然の中で遊ぶ事で自然と身体を鍛え、美しい自然や新しいカルチャーに触れる事で豊かな心を育む。そして自分の頭で考え物作りを行い、頭の中のイメージを実際に形にする。
そんな体験をスノーボードで出会った仲間と共にする。VINTELの全てのアクティビティには意味が込められながらも学校のような堅苦しい印象は感じられない。学校ももちろん大事だがVINTELのフランクさから学ぶ事も数多くあるだろう。子供達の思考回路を変える為のアプローチが様々な部分で見受けられた。
最後にメインとなるスノーボード。富山KINGSではフリーランゾーン、スモールキッカー、ミドルキッカー、ビックキッカーとレーンが分かれているのだが、全てのレーンにライダーが常駐し子供たちは自らレーンを選んで滑る事が出来る。最初に自ら設定した目標に向かい、その為にどうしたら良いのか? 出来る限り子供たちに考えさせコーチ達はそのお手伝いをしている。ライダーの手本を見て真似をしたり、アドバイスを受け実践したり、みんなでお題を決めてトライしたり、近い年齢や近いレベルのみんなで切磋琢磨する事も上達への近道だろう。そして何よりスノーボードを楽しむ気持ちを持つ事が一番大事。練習という発想ではないく、楽しく滑ろう!という心の状態を作る事にライダーたちは専念してくれていた。
”1人で出来るスノーボードだからこそ、仲間は無限大に”
スノーボードは1人でも出来る。でもみんなで滑った方が面白いに決まっている。スノーボーダーの子供達が集まり共に滑り遊ぶ。そんなスノーボーダーにとってごく普通の事が出来る場所があれば良いなと想い始まったVINTELには様々な夢を持った子供達が参加してくれた。1人で出来るスノーボードだからこそ沢山の仲間を持つ事に意味があり、チームではないからこそ仲間は無限大なのではないだろうか。そしてたとえ年齢やレベルが違ったとしてもスノーボードが好きな気持ちが一緒であればスノーボーダーは共に滑り、遊ぶ事が出来る。VINTELでは子供はもちろん、親やライダー、大人も成長したという言葉が良く聞こえてきた。仲間と一緒に過ごしたVINTEL。新しい仲間と共に新しい体験をする。そんなVINTELでの沢山の経験が彼らを成長させている事は間違いないと思う。
次回のVINTEL SUMMER SNOWBOARD CAMPはまた来年。
おかげさまで、参加してくれた子供達や親御さんからは「冬もやりたい」という嬉しい声も聞こえてきた。VINTELでは今後もスノーボードを楽しみ、成長する場所を提案していきたいと考えています。
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