2009/2/7(sat) 雪番長SlopeStyle スノーパーク尾瀬戸倉大会
雲ひとつない快晴の戸倉にビックキッカーがそびえ立つ。今年から雪番長パークとなったスノーパーク尾瀬戸倉で「雪番長SlopeStyle」が開催された。THE SLOPE TRIAL出場権がかかっていることもあり、今回のコースはいつも以上にテクニカルなセッティングで出場者を出迎えた。雪番長史上もっともハイレベルとなった戦いは、プロとアマのプライドを賭けた一戦となった。
□開催日程 2009年2月7日(土)
□場所 スノーパーク尾瀬戸倉(群馬県)
□天候 晴れ
□参加人数 84名(一般男子50名・一般女子14名・ファンクラス20名)
□競技形式 SlopeStyle形式(12Mビックジャンプorスモールジャンプ、ハイハイボックスorワイドボックス)
□ジャッジ
田栗賢二
チョコバニラボール新井
石橋一
□MC:瀬山寿弥
□主催 (株)スタジオジャパホ
□協力 スノーパーク尾瀬戸倉、AREA51s
□協賛:BURTON / VOLCOM / QUIKSILVER / ROXY / DAKINE / Snoman / atla / TROLL / npathletics / Visualize Image / ENDEAVOR / NITRO / DRAGON / A-SEVEN / oran’ge / FLUX / VOLKL / hummingbird / SPACE CRAFT / VESTAL / DEFCON / EQ / UG. / blp (YOROI) / 眞空 / natureguide / 686 / Kicker Fucker Chicken / Champion Visions / 360 / SBN STORE
すがすがしい空気が流れる尾瀬戸倉の朝。入ってすぐ目につくビッグキッカーでこれからどんなドラマが生まれるのだろうか?そんなことを考えながら歩いてきた。受付も滞りなく進み、続々と公開練習に向かっていく。みんなあのキッカーに釘付けだ。公開練習の行列が遠くからでも見えた。朝は風が強くその影響をうけているようだ。
今回のアイテムは12Mのビックキッカーと8Mのスモールキッカーの2WAYジャンプとアップハイボックスかワイドボックスの2ヒットスロープスタイル。シンプルではあるが、見ごたえ満点のキッカーとハイハイボックスの威圧感が、参加者にどう影響するのか?男子は今回もThe SLOPE TRIALの出場権2席をかけた戦いである。
開会式はスノーパーク尾瀬戸倉の木下様のご挨拶を頂き、ジャッジが紹介された。雪番長ライダーのタグケンこと田栗賢二、チョコバニラボール新井、そして戸倉をこよなく愛するプロライダー石橋一の三人である。また今回MC初挑戦で緊張の瀬山寿弥。早速男子予選ヒートから始まった。
男子はABCの3ヒートにわかれ各ヒートから上位4名が予選通過となる。更にその12名を除いた全出場者のポイント上位4名、合計16名が決勝トーナメントへと進むことができるのだ。
予選ジャムセッションにおいての採点方式は、ベスト2ランの合計ポイントでランキングを決める。
今回は使用コース脇のリフトでまわせたので、30分のジャムセッションで大抵4、5本は滑ることができたようだ。
男子予選Aヒートからアツいバトルとなった。前週の雪番長SlopeStyleスキージャム勝山での入賞者、ムービーで活躍するライダーなどもいる。ただ、風が味方をしてくれなかった。ビッグキッカーの合わせも苦戦しているようだった。
続いての男子予選Bヒートも同様によく見る名前のツワモノ達が集まっている。その顔ぶれはトップアマ決定戦とでもいえるほどである。そしてみんな、ビッグキッカーをいとも簡単に攻略してくる。グラブも多彩でかつスタイリッシュ。技のオンパレードで青空に映える戦いだった。
最後の男子予選CヒートはTHE SLOPE TRIAL出場権を狙う大信雄一が登場。他の出場者はそのオーラを感じつつも、自分のベストライディングを見せ付けるように確実にポイントをあげてくる。
今回はスロープスタイル形式なのでジャンプだけでなく、ジブも重要な要素となる。見た目かなりエグいハイハイボックスで魅せることも忘れない。そんなハイレベルの男子予選はあっという間に終了した。
つづいての女子予選。女子はビッグ・スモールどちらのジャンプを選択しても採点は変わらないということになり、自分に合わせたスタイルを出すことができる。ボックスもチョイスは自由。ワイドボックスでスタイルを出した技できめてきたり、ハイハイボックスでワイルドに擦ったり。女子は男子以上に駆け引きが重要となる戦いであった。
女子もガールズムービーに出ているライダーが出場。ほかにも雪番長SlopeStyleスキージャム勝山の入賞者や大会常連者などが名前を連ね、トップアマとプロの激しい戦いが繰り広げられた。女の子も戸倉の青空にキレイに舞っていた。
最後にU-12、O-35、大会未経験者によるファンクラスが行われた。ファンクラスはジャムセッションのみで、スモールキッカー+ワイドボックスに制限され全員が同じ条件での戦いとなる。
今回のファンクラスにはキッズが数多く出場してくれた。
大注目はなんといっても最年少4歳のワクシマアンル。スモールキッカーとは言え土台はビッグと同じ。4歳の子にはまるで丘のように見えるキッカーに物おじすることなく挑んでいた。
キッズに負けじとガールズライダーや最年長ライダーなど他の参加者も果敢に2つのアイテムを攻めファンクラスとは思えないほどの滑りを見せてくれた。
ファンなセッションが終了し、しばしの休憩タイム。このタイミングで焼きそばのいいにおいがしてきた。
戸倉特製の焼きそばやフランクフルトなどが販売され、ぽかぽか陽気の下で食べるサイコーな雰囲気の空間であった。
その間にも雪番長パークディガーAREA51sによる整備が行われ、これから始まる決勝トーナメントへ最高の準備が施された。
そしていよいよ決勝トーナメントの始まり。決勝はノックダウン方式で、ジャッジの旗あげにより一瞬で勝負が決定する。対戦相手の滑りも気になるところだが、それよりもいかにミスなくかつ自分の力を出し切ったライディングができるか。。。自分との戦いでもある。
軽快なミージックをバックにMCも途中参戦の龍(SURGE)&須藤桂(SALOMON)を加え、より一層パワーアップ。
対話形式なMCに見ている方も楽しくなる。そんなMCのコールが響きわたり一回戦が始まった。
今回はランディングバーンがかなり長いこともあり、720や900は当たり前。初戦からCAB900とコーク720の戦いになるなど、予想通りのハイレベルの戦いとなる。
またジャンプの後のジブも重要な採点基準となるので、総合的な滑走能力が要求される戦いであった。
ノックダウンならではの、勝負がついたあとの対戦相手同士の握手は何度見ても気持ちの良いものである。
女子決勝はある意味下克上といえる戦いであった。
「勝って当たり前」と思われるプロライダーと、ここでプロライダーに勝って名を上げたいアマチュアライダー。お互いの意地がライディングの組み立てにも表れ、観客にもその駆け引きが伝わるベストバウトが続出した。
そして男子二回戦。
南雲達也対平井孝典の戦いは、先行の南雲がCAB900を繰り出すが着地失敗。後攻の平井がカンペキなCAB720ノーズグラブ+ドライブ気味のハイボックスエントリーで安定感のあるスタイルをだしジャッジ3人一致で文句なく準決勝へコマを進めた。
中尾圭佑と加賀大貴の対決はランディングでドライブして1080とも見れるスピンを繰り出した中尾に対し、それを見た加賀が1080を回してきたが着地失敗、中尾に軍配があがる。
女子二回戦は相当なプレッシャーとなったであろう一回戦を勝ち上がった野村礼華VSアマチュアライダー代表という図式は変わらず。女子の戦いは予想通り野村礼華を中心に回っていた。
そしていよいよノックダウンバトルも佳境に入る。注目のバトルはもはや雪番長コンテスト代表とも言える平井孝典とプロライダーの大信雄一の戦い。
先行平井が鉄板技ともいえるCAB720ノーズグラブ+ハイジャンプドライブのルーティンでプレッシャーをかける。それを見た後攻大信はプレッシャーなど感じてないよ!とばかりにCAB900をさらりと回してくるが、ランディング後に体勢を崩してまさかの転倒。平井の勢いは誰にも止められない様相となってきた。
もう一つの準決勝、中尾対金澤はお互いF900対決。しかし金澤のF900はランディングでドライブ気味。。。ジャッジの判定も分かれたが中尾に軍配があがる。
決勝に残った平井は前回の雪番長SlopeStyleスキージャム勝山でThe SLOPE TRIALの権利を既に獲得しているため、もう一つの席を賭け急遽3位決定戦を行うことになった。
その前に女子の決勝戦。野村礼華はやはりプロだった。
チャレンジャーとなる佐藤はジャンプでランディング失敗。対照的に野村は相当のプレッシャーに負けることなくしっかりと立って決めてきた。
急遽決定した男子3位決定戦はThe SLOPE TRIALの残り1席を賭けた戦い。先行大信が余裕のあるCAB900+ハイボックスも着実に決めてきた。対して後攻の金澤はプレッシャーがかかったのか果敢に攻めたビッグB900を繰り出すが着地失敗。勝敗は大信にあがりThe SLOPE TRIALの権利を得ることができた。
戸倉のエキスパートキッカーに夕暮れの日差しがさし日陰の部分が多くなってきたころ、いよいよ雪番長SlopeStyle尾瀬戸倉ファイナルがおこなわれた。
男子決勝戦は先行平井孝典対後攻中尾圭佑の戦い。ほんの数年前まで、一般の大会でこのようなハイレベルな戦いを想像できたであろうか?平井はここまでノーミスで勝ち上がってきている。トーナメントでの戦いを熟知している滑りだ。
対して中尾は相手によって繰り出す技を変えてくる滑りを見せ、多彩な技数で勝ち進んできた。決勝に相応しい二人が揃った。
先行平井が決勝もスイッチエントリーでスタート。決勝はCAB1080で勝負をかける。多少ドライブしたがしっかりとランディングし、ハイボックスもスイッチからスタイリッシュに決めフィニッシュ。後攻中尾にかなりのプレッシャーを与える。そして後攻中尾がスタートエリアに立ち観客にアピールする余裕を見せドロップイン。スムーズかつロンググラブなCAB1080を繰り出してきたが、着地で痛恨のドライブ、そしてランディングが乱れたままハイボックスにエントリーし決勝のライディングが終了した。
こんな鳥肌の立つ戦いが、これまであったであろうか?雪番長史上最高と思える戦いがこれで幕を閉じた。
結果は表彰式にて発表される。戦ったライダーも見ていた観客も、待ちどおしい時間であったに違いない。
閉会式は日が沈みかけた中おこなわれた。スノーパーク尾瀬戸倉代表の萩原様から締めのご挨拶をいただいた。キッズがたくさん出場してくれたことを喜んでいただき「遊ぶために仕事してください」と締めくくられた。
早速表彰はファンクラスから。結果は以下のとおりとなった、これからのキッズの頑張りとキッズに負けない大人に期待する結果だ。
【ファンクラスリザルト】
1st 飛田 ルキ
2nd 三橋 秋穂
3rd 金子 哲也
4th 外丸 慶
5th 会田 奈緒子
続いて女子の結果発表。
ファイナリスト2名にとくまハウスの2階デッキにあがってジャッジ石橋の両側に立ってもらった。
手が上がったのは。。。
プレッシャーをはね退けた素晴らしいライディングだった。
その他リザルトは以下の通り。
【一般女子リザルト】→トーナメント表はこちら
1st 野村 礼華
2nd 佐藤 愛
3rd 福井 さやか
3rd 前原 優子
最後に男子の結果発表、見守る観客を見下ろす決勝ライダーたち。
ジャッジタグケンの両脇に立って手が上がる瞬間をじっと待つ。
結果は。。。
雪番長SlopeStyleスキージャム勝山の雪辱を晴らし、今期雪番長コンテスト2冠を達成した。
リザルトは以下の通り。
【一般男子リザルト】→トーナメント表はこちら
1st 平井 孝典
2nd 中尾 圭佑 The SLOPE TRIAL出場権獲得
3rd 大信 雄一 The SLOPE TRIAL出場権獲得
4th 金澤 貴澄
今回も沢山のスノーボーダーに参加してもらい素晴らしい大会にすることができた。雪番長はゲレンデで滑る全てのスノーボーダー達を応援していきたい。そのための手段の一つが大会である。
携帯サイトで情報を配信する、所謂バーチャルな雪番長はリアルな世界でスノーボードが好きで好きでたまらないみんなとこれからも一緒に大暴れしていく。
これからも雪山で会いましょう!
Text : HAL / Photo : ALI & TOM