田中幸インタビュー
いつも精力的に活動を行い、ライダー、デザイン、イベント、ツアー等様々な分野で活躍し続ける田中幸。今シーズンも色々と新しい事をしていく予定の彼女にインタビューを行った。
1)スノーボードを始めたのはいつからですか?
20歳の頃ですね。でも18歳から23歳までじつは銀行で働いていたので(笑
仕事の内容はお金を触る、というか書類の不備とか照合とかをしていました。そして銀行で働きつつボート部の実業団に入って練習してました。
ですが、当時始めたスノーボードがもっと無性にやりたくなってきたんです。そして今まではボートの大会で負けると泣く程悔しかったのですが、ある時負けてもそこまで悔しくない自分に気がつきました。
その時丁度LILの1作目がリリースされていた時で、そのMovieを見た時に「もしかしたら手の届くレベルにある!私も頑張ればいける!」って思ったんです。だけど色んな友人に「スノーボードで生活できるの?」と言われながら引き止められていました。
しかしあるタイミングでムラサキスポーツ関係の飲み会で橋本通代さんと平岡アキくんと会える機会があり、橋本通代さんに色んなアドバイスを貰う事ができました。その時凄く気になった一言が「たくさん滑るのも大事だけど、海外、カナダに行った方がいいよ」という言葉でした。
その言葉を信じて有給休暇を使って10日間程、初めての海外旅行、初めてのウィスラーにいきました。
ウィスラーでは滑ること自体が楽し過ぎて一日中滑り続け、ご飯も食べずにカロリーメイトとか食べながら滑ってました。それから日本に帰ったとき改めて「私カナダに行く!」と決めて辞表を書いて3月末には仕事を辞めました。
でもその後LILの1回目のイベントに参加したとき腕を脱臼してカナダにはすぐに行けず、夏にNew Zealandに行ったのが初めて篭ったシーズンでした。当時はスロープスタイルのプロ資格も無かったけど、とにかくジブとジャンプが好きでひたすら練習していましたね。
2)そのジブ、ジャンプメインで滑っていた頃と今の活動のフィールドが変わったきっかけはありますか?
一番大きかったのは2008年のNIPPON OPENで大怪我をした事です。そこからジャンプが飛べなくなって、半年リハビリして、日本で滑るのが怖くなってカナダにいきました。スノーボードが好きだから最後は好きな場所の雪の上に立って終わりにしたいと思ったので。
それと同時にCSBAという所で英語も勉強しにいこうと決めていたんですが、いざ雪の上に立ってスノーボードしてみたら、めちゃくちゃへたくそで転びまくってたんですけど、なぜだか凄く楽しくて「あれ?もしかしてまだできるかも!!」と感じたんです。
それからもスノーボードを続け、1年間は殆どフリーランばかりしていて、2年目でやっとちょっとジャンプできる様になりました。
で、思ったんです。あの時の田中幸にはもうなれない、だから今までと違う田中幸にならなければならないって。そこでなにができるんだろう?と思ってたとき、入院中にデザインを書いてたり、CADの勉強したり色んな事を勉強してた自分を思い出し、スノーボードで滑る以外にも色んな事をする様になりました。
それからブーツのデザインとかウエアーのデザインとかも担当するようになると、今まで夏のスポンサー回りとか正直嫌だな、って思ってたのがいきなり楽しく感じれる様になったんです。自分のデザインしたプロダクトがお店に並んで、そこでスノーボーダーが購入してくれて、そのプロダクトを山で見ると今までよりもっともっと楽しくなりました。
それから2年目、3年目はそのような事も重視しながらスノーボードをしてました。実際大けがした後、雑誌社とかはみんな声かけてくれなくなりましたけど、自分が好きだったジブはまた猛練習してうまくなって見返してやろう、と思ってストリートもやり始めました。
同時に「女の子のDVD作りたい」という思いが頭に浮かんだ結果、誕生したのがGiRLです。その誕生秘話も色々とあるんですが、今のMaddocをプロデュースしている藤井智浩が手伝ってくれなかったらできなかったですね。
それから山を滑るフリーライディングにどんどん惹かれていき、そのタイミングでカメラマンの大竹太朗さんという人が居て、カナダの色んな所に連れて行ってもらいました。彼との出会いもとても大きく、一緒にHappy Campを運営しながら撮影するというルーティーンが出来上がりました。その現場で必要な雪崩の資格を取ったりしながら行き着いたのがバックカントリーです。個人的に日本のバックカントリーというイメージはピンと来ないんですが、カナダのバックカントリーのイメージはとても自分にマッチングしていたんです。
ですのでこれからはバックカントリーを追求していくものだな、と感じています。
3)スノーボーダーとしての田中幸の特徴はなんだと思いますか?
やっぱりスノーボードが大好きだ、という事ですね。
私は1年中滑っている訳ではありませんが1年中スノーボードに関わる生活をしていて、常に新しい事を頭でイメージし続け、365日考え続けます。だからこそ新しいブーツのデザインとかも出てくるし、新しいアイディアも生まれます。
そういう意味では私はスノーボードで滑る事だけが好きなのではなく、スノーボードに関わる全てが好きで仕方がないし、その為に常に全力を尽くしています。
4)話は変りますが、ファミリー向けに新しい動きをしているそうですが
実は2年前からやりたかったんですけど、きっかけはここ数年同世代ぐらいの家族が山で「子供と一緒に写真撮らせて下さい」といわれる事が多くなったことですね。自分たちの世代がお父さんお母さんになり、その子供達がスノーボードする様になる世代になったのを感じています。昔はスノーボードをする子供達は少なかったですが、今では非常に多く見かける様になりました。
子供にスノーボードを上手くなってもらおうという親がいても、始めの段階はスクールに入れない親もいますし、そこで子供に初めてスノーボードを履かせるまでのHow Toの何かがあれば良いのではないか?と思い続けてました。
2013年の12月にコロラドで脱臼の怪我をしてしまい、その時「あっいいタイミングじゃない?」と感じて動き始めました。今回リリースするこのDVDはキッズが斜面を滑るというよりは板で遊ぶ、という事を重視したプログラムとなってます。そして2014年の冬から本格始動したいと思ってます。
内容というと、これからイベントやスノーボードの試乗会と同時開催で子供が遊べるイベントを開催したり、雪板の子供版を作成したりして、いきなりスノーボードをさせるのではなく、板の上に乗ってみたり、そのまま横に動いて楽しんでみたり、そういう楽しさを子供達に教えていくという事です。そこから子供の笑顔をみたお父さんお母さんがもっと山に滑りに来てくれればいいな、と思っています。
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