業界人インタビューvol.1 MC Racchi(ラッチ)

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今回の業界人インタビューはSLOPESTYLEやFREERUNイベントでおなじみのMC Racchi。イベントMC、SURGEEVOLVEディレクター、そしてひとりのスノーボーダーとしての彼の生き方に迫る。

RacchiがMCになったキッカケは?

実はおれ、昔は音楽の世界を目指しててね。卒業した学校はESPミュージカルアカデミー。ギターを作ったり、好きな音楽の道に進んで、卒業後はESPで働いていた。その後ちょっと家の事情もあって別の仕事に就いていたんだけど、スノーボードを始めたのはだいたい20代前半かな。友達に誘われてスノーボードに行ったら、1・2回で滑れるようになったからすごいハマっちゃって。まあ、今の自分から見たら全然滑れてなかったんだけどさ。(笑)

音楽の時もそうだったんだけど、とにかく出来ないことが出来るようになるっていう過程がすごくおもしろかったんだ。自分が好きにことにはすぐ熱くなるんだよね。毎週休みには必ず雪山に通うようになって、当時はWEBなんてなかったから雑誌をめちゃくちゃ読んでた。当時読んでたどの雑誌にもBURTONが載ってて、自分もBURTONカッコイイ、乗りたいって思うようになったんだ。そのタイミングでNEWPORT(当時の関東のBURTON代理店)って会社が、たまたま求人募集をしてたんだよね。「コレだ」って思って速攻応募して、倉庫のバイトとして入ったんだ。

そうしたらNEWPORTがイベントも運営していてね。おれは昔からおしゃべりだったってこともあって上司から「お前いつ来てもうるさいから喋れ」ってなかば上司命令で、初めてMCデビューしたのがBURTON関東のシリーズ戦だったかな。その大会関係者の中にJSBAの関係者もいて、それをきっかけに関東大会や全日本選手権などでもMCをやらせてもらうようになったり、スキー場関係者からゲレンデイベントのMCを頼まれるようになっていったんだ。そうやっていろんな大会やイベントでMCをやっていく中であるとき「MCやってて特等席だね」なんてことを何人かから言われたんだ。そう言われて思った。「いや、本当にそうだよね。自分の好きなスポーツ、この瞬間、この楽しさを伝えなきゃ」って、するとさらにおもしろくなってきて。最初は趣味だったんだけど、当時の日本オープンやプロ戦など大きな大会のMCをすればするほど、徐々にいろいろ要望を求められた。そうしていくうちに仕事に変わっていったんだ。

スノーボードの大会ではお馴染みのMCラッチ。彼がMCを担当してきた大会は数多い。我々FREERUNのイベントでも彼は欠かせない進行役兼MCだ
スノーボードの大会ではお馴染みのMCラッチ。彼がMCを担当してきた大会は数多い。我々FREERUNのイベントでも彼は欠かせない進行役兼MCだ
大きな大会を特等席でじっくり見れる、適確に実況を含めたMCでその感動をみんなに伝え、大会を盛り上げる。好きだからこそ、仕事に変わっていったとも言える
大きな大会を特等席でじっくり見れる、適確に実況を含めたMCでその感動をみんなに伝え、大会を盛り上げる。好きだからこそ、仕事に変わっていったとも言える

先シーズン立ち上げたSURGEEVOLVEとはどういう関わり方をしているの?

ちょうどMCとして多くの大会に呼ばれ始めたころ、BURTONのライダーだった龍美栄一(以下、タツ)と石橋 一(以下、バシ君)がSURGEというブランドを立ち上げていたんだ。2人とはゲレンデや大会などで会うたびに自然と色々な話が出来たんだよね。もともと音楽やってた時代からモノづくりがすごい好きで、スノーボードの構造なんかも物凄く興味があったんだ。必死に板の勉強して。サイドカーブが雪上を滑るためにどう作用するか?とかキャンバーはどうしてキャンバーなのか?みたいな基本的なことをそこで学んだ。

そんな経験もあったんでSURGEを手伝うようになっていった。で、ずっとSURGEのセールス・レップとしてやってきたんだけど、やっていく上でいろいろなしがらみや自分たちの理想と違うところが出てきた。そこで、自分たちがもっとやりたいように自由にできるブランドっていうことで、先シーズンSURGEEVOLVE(サージエボルブ)ってブランドをタツとバシ君と共に立ち上げたんだ。ブランドに関してはタツとおれが50:50の関係。自分たちの板では「こだわる」ことが出来る。それこそSURGEEVOLVEにしかない形、自分たちにしか出来ないブランド、自分たちの満足する乗り味があるからしっかりと根強いファンを作っていきたい。個性を強く出してやり続けていきたいって思ってる。

自分たちがやりたいことを自由にやれるブランド。だからこそ仲間同士真剣に意見を言い合うことも数多い。
自分たちがやりたいことを自由にやれるブランド。だからこそ仲間同士真剣に意見を言い合うことも数多い。

Racchiが考えるスノーボードライフとは?

MCをやっているといろんな大会を通じて、とにかく若いライダーと関わることが多いんだよね。そんな中で、好きなことなら続けていこうよってことを若い子たちに伝えたいなって思ってるんだ。例えば、20歳前後でスノーボードを続けるか、就職するかで自分の人生に悩んだときに、プロを目指すのも1つの道だと思う。一方で、ちゃんとした生活っていうのも大事。自分はスノーボードを通していろんな人のスノーボードライフを見てきた、その結果MCをやり、ブランドのディレクターとしての今の自分がある。若い子たちでプロを目指している子達が、お金なくなるからスノーボードから離れるってことは残念に思う。スノーボードが仕事にならないからやめようじゃなくて、好きならやり続けていこうぜって、いろんな道があるから。そう言いたいよね。スノーボードってすごい特殊だと思うんだ。スノーボードがキッカケで旅もできるし、普通に年齢が2倍以上上の人と話も出来る。普通の小学生が10年後に経験することをいまの10代のスノーボーダーは普通に経験している。その経験から学ぶことって本当に大きいと思うんだよね。プロスノーボーダーとして生きることだけが最高のスノーボードライフというわけじゃない。普通の仕事しながら続けていくっていうのも大事なことだと思うんだ。好きなスノーボードを続けるために就職するとかね。若いときってスノーボードに夢中だから、何かのきっかけで大会出なくなる=スノーボードやめます、ってなりがちだけど。実はいままでの経験を活かすことでいろんな道の選択肢が自分にはあるんだぞって。それは自分も同じだった。自分の周りの人とのつながりを大切にすることから、いろいろなチャンスへと発展する可能性だってたくさんある。スノーボードが好きだと思うならば、もっと視野を大きくして、楽しみ続けていこうぜ。自分だけのスノーボードライフが出来上がるから。

MCをしながら、数多くの若手ライダーたちの成長を見ている。そういう子たちにもっともっとこの世界の可能性を伝えたい。
MCをしながら、数多くの若手ライダーたちの成長を見ている。そういう子たちにもっともっとこの世界の可能性を伝えたい。

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MC Racchiプロフィール

本名:三浦武雄 1970年10月26日生 神奈川県茅ケ崎市出身
SLOPE STYLEやAIR MIX、FIS W杯などのスノーボードイベントでマイクを握るイベントMC。もともとライダーを志していたが当時のプロライダーのスキルを生で見て、別の道を目指す。たまたま握ったマイクが噂に噂を呼び、いろいろなスノーボードの大会でMCを担当。スノーボードを通してつながったライダーとSURGEEVOLVEというブランドを創設。冬のシーズンは、イベントや試乗会で全国を飛び回っている。オフシーズンにはトレイルランニングやウォータースポーツのイベントのMCでも活躍。ちなみにニックネームの「Racchi」は「三浦らっち」の省略系と推測される。

Sponsor: SMITH OPTICS 、SURGEEVOLVE