「STEP7」というスノーボードスクールが気になる。
聞きかじったところによると、ステップ制で受講者カルテも作成して、少人数でのプライベート感覚なレッスンということらしい。
なんとなく想像できるけど、それだけでこんなに話題にはならないだろう。
どうしてリピーターが絶えないの?どういう教え方してるの?何が違うの?
これは私が突撃するしかないでしょう!
中級・オヤジ系・週末ボーダーの私が身を持って体験すれば、世の中の多くのスノーボーダーに共感してもらえるのでは?
そう言えば、STEP7は開講1周年記念とかで無料体験レッスンを開催するらしい…。しかし!ここはあえて、お金を払って体験しよう!タイアップとか無料体験とか甘えちゃいかん。ばっさり自腹切って本当の価値を探ってやる!!
というわけで、私が実際に体験したレッスンの模様と、翌日開催された“レッスン無料DAY”の様子をレポート!
さてさて、STEP7のヒミツが見えてくるでしょうか?
突撃体験!「STEP7」Basic編
「私が、STEP7の校長の伏見知何子です。ちかっちって呼んでください」
おお、あの伏見さんじゃないですか。
先日NIPPON OPENでも見てましたよ。イベント等ではちらっと話しかけたことあるけど、ちゃんとお話しするのは初めて。
しかも今回は生徒ですから。改めてよろしくお願いします。
新規の受講者は私ともう一人女性の方。後からリピーターの方が合流するらしく、まずは新規の受講者だけでレベルチェック。
リフトを降りて板を履いたら広いバーンまで斜滑降で移動。
「Mr.、わかりました。右肩開きすぎです」
おおっと、いきなりチェック入ったんですか?
「はい、じゃあロングターン、ショートターンしてみましょう」
ちかっちが先に下に降りて手を挙げる。
自分の思ってるロングターン、ショートターンをやってみる。
「わかりました。Mr.はやっぱり右肩右腰が開き過ぎて後ろ足が使えてない。エッジングのタイミングとかはわかってるから、そこを直せばだいぶ良くなりますよ」
あ、やっぱりそんなクセが…。
「では次、直滑降からの停止やってみましょう」
直っ滑りからの停止ぐらいならカンタンでしょう!と意気込んでやってみる。
「直っ滑りなのに、トゥ側かかってますよ。しっかり面で踏めてない」
あぁ、またですか?そんなにダメダメでしたか?
「この直滑降からの停止をやると一発でレベルがわかるんですよ。Mr.はSTEP4の後半、○○ちゃんはSTEP3」
はぃ〜、わかりました。
レベルチェックを終えて、リピーターの方と合流。
「ではレッスンはじめますね。最初は、ここで基本姿勢から。リピーターの△△ちゃんも一緒にやってみましょう」
フラットのバーンで板を履いて基本姿勢、そして腰を落としてジャンプ。
「はい、Mr.後ろ足のヒザが内側に入りすぎ」
続いてオーリー。
「Mr.もっと右足に乗って。○○ちゃんは、すねを前に」
この時点でかなり汗だくつゆだく。
でもだんだん弱点が見えてきた。
では、いざリフトに乗ってゲレンデへ。
「じゃぁ、トゥ側とヒール側の斜滑降やります」
えぇ?いまさら、斜滑降かよぉ?
「私のトラックを消さないように付いてきてください」
まずはトゥ側。
「Mr.はすねを倒しすぎ。膝下に頼ってるからエッジに荷重が乗ってない。○○ちゃんは、もっとすねを倒して、お尻を突き出さないように」
ヒール側。
「自分のトラックと私のトラック見比べてどうですか?」
幅広いですぅ。ずれてますぅ。
「つまり、後ろ足が踏めてないってことです」
あぁ、先生どうすれば…。
「前肩が開くってことは、エッジに伝わる力が抜けるってことです。前側の腰に壁を作らないとですね。そのためには肘をここにくっつけて滑ってください」
なるほど、なるほど。
「その状態でターンの始動の時に、前足を踏み込む感覚わかりますか?先落としで前足踏み込んでから腰を落としてターン」
あっ、なるほど、抜けない感じがわかります!
「頭がかぶってます。頭の位置は変えずに、板一枚外側に放り出す感覚」
うぅ、ダメなところがいっぱい。
見抜かれてしまったクセ、弱点。ちょっと凹んだが、そこを矯正するための具体的なアドバイスをもらう。イメージ的なものだったり、手の位置だったり、わかりやすい。しかも、参加している人、一人一人に別々のアドバイス。ここは出来てるけど、ここが出来てないからこうするといった感じ。
「STEP3の人には難しいかもしれないけど、ターンは前で踏み込んで後ろ足で送り出す感覚が必要なんです」
おおっ、深いとこまで話しが進んでる。
「それを実際に極端な例で覚えてみましょうか?レイバックとカットバックやりますね」
レイバックって、あの後ろにのけぞってインリンポーズの?
「まずは、その場でテール側に思いっきりしゃがみ込んでください。テールに手をつくくらい。前足を先落としして滑り出したら、後ろ足を蹴り込む…」
なるほど!わかりやすいです!面白いです!
「Mr.!また後ろのヒザが入ってる!」
あ、まだダメダメですね。
そんな練習を踏まえて、後ろ足を踏み込んだ加速するカーヴィングターンの練習へと移行。わかります、わかります、加速する感じ。でも、もう後ろ足ぱんぱんで、踏めましぇん。
お昼を挟んで午前・午後、みっちりと練習したおかげで、弱点と克服法がわかってきた。
でも脚が…。そうつまり、いかに普段後ろ足を使っていなかったがわかる。
練習終了後にディスカッション。それぞれの弱点に合わせて宿題が出される。学生時代なら宿題って聞くと「うへぇ〜!」となっていたのに、ここで出される宿題はうれしいから不思議だ。だって、スノーボードが上手くなるための宿題だもんね。
「Mr.の宿題は、レイバック・カットバックそれと、右のヒザを意識して滑ってください」
ありがとうございます!!
よーし、次に受講するまでには…そう固く誓った私だった。
さて、一通り終わったところで他のスクールとどこが違うのか考えてみた。
まずは、STEP別に課題が理論的で明確なこと。
ジグソーパズルのピースを集めて行くように課題をクリアしていけばステップアップできるというイメージだ。
まるでゲームのダンジョンをクリアしていくようなこの感覚は日本人向き?
もちろん、1回ではクリアできないからリトライしたくなる!
BASICをクリアしたとしても、JIBやJUMPという違う街のダンジョンも待ってるよ。う〜ん、ハマる!
もう一つ思ったことは、丸一日付きっきりで教えてもらえるってスゴイ!
これは、お得感あるよ!スクールというより1DAYキャンプみたい。
もう少し詳しいことを、ちかっち先生に聞いてみることにする。
★スペシャルインタビュー ちかっち先生に聞いてみた
今日はそうとう凹みましたが…。
「だいたい滑れてる人でも、Mr.と同じようなクセのある人多いですよ。今日一緒にレッスンしてた○○ちゃんとかみたいなSTEP3の人の方が案外カンタン補正できちゃうこともあるんです。楽して滑ろうとして付いちゃったクセは治すのが大変ですね。でも今日伝えたことって、自分でチェックできるから、思い出しながら自習してください」
やっぱりクセの矯正って大変ですよね。
「実は、私もMr.の気持がよくわかるんですよ。前の肩と腰が開いて滑ってたから。そうするとどうしても前足だけに頼った滑り方になって、左の股関節痛めたんですよ。それで矯正したんです。パイプやってるとよくわかるんですけど、スノーボードはエッジをトゥとヒールでパタパタ入れ替えるだけじゃなくて、前足・後足の運動なんです。だから両方の力を効率よく板に伝えることが必要だし、それができるような体の使い方をすれば、故障もしなくなる。矯正したことでそれがわかったから伝えたいんです」
なるほど!たしかにパイプってシビアですもんね。
「STEP7のBASICには、それこそジャンプやジブ、パイプ、そしてバックカントリーまで楽しんで滑れるようになる基本がいっぱい詰まってるんです。だから私たちが一番大切にしているのがBASIC。ジャンプやジブで悩んでる人にも是非BASICを体験してほしいですね」
わかります。今日教わったことって、全部つながる気がします。
「もっともっと伝えたいことはあるし、引き出しはまだまだたくさんありますよ。でもその人のSTEPごとに伝えないと混乱するだけですからあえて小出しにしてます。でも大切な事は伝えてあるんで、今日のレッスンだけでもずいぶん滑り方かわりますよ」
カリキュラムがあるって聞きましたけど。
「はい、このSTEP7には体系化されたカリキュラムがあります。BASICで100ページぐらい、JIBやJUMPにもそれぞれ50ページぐらいのカリキュラムがあって、コーチはすべてこれを身につけた上でコーチングしてます」
だから伝えることがぶれないんですね。
「伝え方や例え方は、それぞれのコーチによって違う部分もありますが、根本的な部分では共通した物をもってますからね。STEP7を受講した人には、個別にカルテを作るんです。お医者さんみたいに。カリキュラムに照らして、それぞれのSTEPでどの部分がどれくらい足りないということを記録しておいて、次の受講でコーチが変わったとしても課題を明確にできるんですよ」
そのカルテって見せてもらえるんですか?
「いえ、それはコーチだけが共有できるようにしています。でも、『僕、今どれくらい足りないですか』って聞いてくれれば、どこがどう足りないかは教えますよ」
それってJIBやJUMP受けるときも同じですか?
「もちろん、全てが連携してますから。目標はオールラウンド。トータルスノーボーディングですよ」
バックカントリーとか行くようになったんでMt(マウンテン)も受けたいんですけど…。
「MtはSTEP5の人からです」
え?じゃあまだまだだ。
「まぁSTEP4の人でも、何回か受講して、後ろ足の使い方とかわかってくれば受講可能にしてますから、そんなに気を落とさないで。でもバックカントリーを本当に楽しむには本来相当な技術が必要なんですよ」
はい。そう思います。今日はありがとうございました。また必ず受講します。
スノーボードスクール STEP7 校長
トリノオリンピック女子ハーフパイプ日本代表
スポンサー:
PO1、CAPITA、DEELUXE、across、REAL SNOWBOARDING、DAKINE、GALLIUM、Rage、TROLL、Master-Piece、Lavean(ヘアーメイク)、ヒートカプセルソックス(ソックス)、フォレスト歯科
キャンプスタッフ/コーチング経験:
ヒューマンアカデミー・スノーボード科 講師
アメリカ・マウントフッドキャンプヘッドコーチ
STEP7“レッスン無料DAY”を取材!
私がSTEP7を受講した翌日、「STEP7開講1周年記念“レッスン無料DAY”」ということで、無料体験会が実施された。
朝のレベルチェックから、レッスン後のディスカッションまで、実際のレッスンと同じ内容を無料で体験できるということらしい。お試しコースだからといって手を抜かないあたりが憎い!
BASICが1クラス、JUMPも1クラス、JIBは2クラスで定員は32名が満席となった。受講生は小学校2年生から40代後半までと幅広い!
BASIC編のコーチは既に私の心の師匠、ちかっち。
JUMP編のコーチはタグこと田鎖法史さん。
JIB編のコーチは、トモチこと新田智美さんと、ユウこと竹尾雄宇さんの二人。
各コースに分かれて自己紹介からはじまる。
レッスン内容の説明を終えて、基本姿勢や動作の確認を終えるといざゲレンデへ。 STEP7はBASICを大切にしているということもあって、JIBやJUMPのコースもまずは基本滑走からはじめる。
先ほどやった基本姿勢をターンの中でもできるようにする。JIBやJUMPで必要となるアプローチやオーリーは基本姿勢を安定して出来るかどうかで決まるといっても過言ではないのだ!
JUMPやJIBクラスも、思いの外フリーランのレッスンが多いことに驚いている。しかし同時にそれが次にやることにつながることがわかったようで、みんなの目も真剣に。
サイドスリップからの逆エッジ停止など、今まで経験したことのないレクチャーにも興味津々だ。
JUMPコースは、まずストレートから。
できる人にはインディー、メランコリーとグラブと課題が出される。
JIBでは、レベルによって2クラスに別れ、下のクラスは超ワイドボックスで50/50、テールプレス。上のクラスはナロウボックスで50/50、テール、ノーズ、バックサイド、フロントサイドのボードスライドへと進んでいく。
それぞれに、「オーリーの角度がブレている」とか「視線が下を見ている」とか細かな指摘と的確な修正方法が伝えられる。
デジタルムービーカメラで撮影して、問題があればその場で指摘してもらえるようだ。口頭でもわかりやすく説明してくれるようだが、やはり映像で見せられると一目瞭然。自分の頭の中で描いているイメージとはほど遠いようだ。
JIBもJUMPもみんな元気(?)にハイクアップを繰り返す。黙々とではなく「イェーイ!」「今のいいね〜」などと声が上がる。やはりスノーボードはこうでなくっちゃね。
BASICのコースを見に行くと、前日自分が教わったことと同じようなところを指摘されている。1日だけだがセンパイになった気分で微笑ましく見守る。
と、いきなりちかっちから「Mr.お手本見せて!」とムチャぶり。
テールプレスからクルクル回る。あんまりうまくなかったのに拍手もらってしまった。超ハズかしい!
JUMPの方を偵察に行くと、おぉ!!もうシフティ?!
ヤバい、みんな上達してるし…。
あれ?足が攣ってる人がいる。
がんばり過ぎにはご注意。
★みんなの感想大公開
楽しかった。1日中教えてもらって、参考になることが多かった。(森村)
目標はF180でした。それにつながるシフティとかできたので、確実にまた受けたいです。(aki)
すごく参考になりました。特に基本姿勢は大切ですね。(ケンタ)
板の上に乗る上で姿勢って大事なんですね。肩が開く、頭が下がるって指摘されました。(ヤノッチ)
色々キャンプやコーチングを受けてますが、理論的にレベルが高いですね。また続けて受けたいです。(ますたぁ)
楽しかった。右足が上がらないクセがあって、それがわかってよかった。(Jr)
衝撃的でした。レベルチェックの段階からスゴイと思いました。今回はJUMPでしたが、次回はBASICを受けたい。(ひさかず)
わかりやすくて良かったです。BASICも受けた方がいいなと改めて思いました。(あっつぅ)
できなかったことができるようになりました。教え方も丁寧でよかった。(たっつう)
わかりやすかった。上半身のクセを指摘してもらった。(はかま)
すぐにアイテムに入るんじゃなくて、フリーランでイメージを固めることの大切さがわかりました。(あるが)
自分で滑ってると、できることの方に逃げてしまうけど、やることにしばり(課題)を持ってやるといいですね。アドバイスも的確だったしビデオもわかりやすかった。(MAKOTO@大文字)
いやぁ楽しかった。基礎的なところ、例えば姿勢とかをちゃんとすることが上達への近道だとわかりました。(papa)
楽しかったです。手の使い方のクセとか指摘されました。(なかち)
勉強になりました。けっこうコーチもやさしかったです。ヒザの位置とか手の位置とか指摘されるまでわかってなかったですね。(高橋)
フロントできたとき、ほめてもらえて嬉しかった。次につながるってことがわかりました。(かづちん)
来てよかった。友だちに言われるとカチンとくるんですけど、コーチに言われると素直に聞けます。映像は凹みましたね。できてないことがわかりました。(木嶋)
楽しかった。はじめてやることが多かったけど、わかりやすかった。初めてのBOXでテールプレスまでグラブ付きでできた。(りんこ)
フリーランの大切さがわかりました。できてない事が多かったですね。(RIKO)
自分の悪いところがはっきりわかりました。(ひろ)
ちかっち先生のコーチングが的確で素晴らしかった。この人なら信用できる。この人について行こうと思いました。師匠これからもついて行きます!(あれちん)
借金してでも自分のボード買います。(滑走10日目、レンタルで参加)スノーボード始めてからだんだん滑れるようになって楽しかったんですけど、最近行き詰まりを感じてたんでそれを払拭できました。(さこ)
楽しかったよ。色々できるようになった。もっとやりたかった。(たつや)
いやぁ、初めての事ばかりで楽しかったです。ここまで教えてくれるのって他にはなかったですね。(ヤス)
※敬称略
みんな、汗だくになってがんばった。
上達していく過程は楽しいものだ。だからみんながんばれた。
私自身、体験してそう思った。
STEP7は一つの方法論かもしれない。STEP7以外にももっと良いメソッドが存在するのかもしれない。しかし現時点で、テクニカルではなく、フリースタイルスノーボーディングの上達を目的とした総合的カリキュラムとしては、これに勝るものを私は知らない。
興味のある人は、一度体験してみるといい。
自分を中級レベルと思っている人ほど、実は正しく乗れていないことが多いようだ。
教えてもらうことは恥ずかしいことではない。
text&photo:Mr.