スノーボード第1世代から30代後半のスノーボーダーは意外とヘルメットをしていない方が多いのではないだろうか?しかしここ数年スノーボードをするキッズも増え、若い世代はヘルメットを当たり前に着用する様になった。
今ではたくさんのユーザーが着用しているヘルメットだが、実際のヘルメットの選び方を知らない人もまだたくさんいる。今回はヘルメットの選び方、選ぶ上で重要な事、メンテナンス等をSMITH OPTICSの山田さんに詳しく聞く事ができた。
①ゴーグル選びのコツ、レンズケアの重要性をお聞きしましたが、子供も大人も着用しているヘルメットについてお聞きします。まずここ数年ヘルメットの需要がかなり高まっていると聞いていますが。
ソチオリンピックの影響もあり、ショップさん、ユーザーさんからの問い合わせがかなり多くなりました。TVを見て、スノーボードをする時にはヘルメットをするものだというイメージがついているのではないかと感じています。それとこれから始めるお子さんに安全性という観念からお父さんお母さんが進んで購入するという形も近年多く見られます。
SMITHとしてはかなり前からヘルメットをリリースさせて頂いてて、世界的にもTOPヘルメットメーカーの一つとしてユーザーさん、ショップさんから指示を頂いてます。アメリカでは来年ヘルメットのブランドとして販売数がTOPになる予想となっています。
SMITHのヘルメットは全世界で人気を博している
②ヘルメットの選び方はどのように行えばよいのでしょうか?
スノーボードの第1世代から今の30代後半ぐらいまでのスキーヤースノーボーダーは当時の状況からヘルメットをしていなかったユーザーさんが多数だったと思いますが、その状況は今一変しています。そういった面ではまだベーシックなヘルメットの選び方をしらないユーザーさんも多数いらっしゃいます。
まず一番大事なのはヘルメットの安全規格をしっかりと満たしているか、だと思います。日本の規格というのは現状ありませんが、世界的に見てアメリカの安全基準であるASTM、ヨーロッパの安全基準であるCEという基準の両方を満たしているヘルメットから選んで頂く事が大事だと思います。言い換えれば現状この二つの安全基準を満たしていれば世界の山で滑っても安全であるという事です。
しっかりとしたメーカーであれば必ずヘルメット内に写真にあるようにASTMとCEの文字があるはずだ
③ほかにヘルメットを選ぶ上で重要な事はなんでしょうか?
ヘルメットを選ぶ上で、ユーザーさんはまずサイズを基準に選ばれると思います。SMITHのヘルメットはS,M,Lというサイズを用意していますが、さらにそのサイズ毎に微調整がきくものをお勧めします。例えばダイヤルを回す事によって微調整できたり、中のパッドを動かしたり取り除いたりしてサイズ調整ができたりするヘルメットです。あとは安全性を満たした上での軽量化モデルなのか、快適性を求めたモデルなのかを個人の滑走スタイルによって選んで頂く事が大事だと思います。
スタイルの問題になるかと思いますが、比較的スキーヤーの方は直接被り、スノーボーダーの方はビーニーの上に被るユーザーさんが多いですね。
今までヘルメットを使用していなかったユーザーさんだと、ヘルメットの重さが非常に気になる方もいます。そういうユーザーさんは軽量タイプのヘルメットをお勧めしますし、SMITHのヘルメットのモデルのいくつかは低床設計となっていてヘルメットの側面のラウンドした形が途中から角度が変わって全体の重量の中心部分が低くなるので頭が振られにくくなるメリットがあります。
写真のMAZEの様にヘルメットの低床化はフィーリングにも軽量化にも繋がっている
ヘルメットはまず最初に安全性ですが、それ以外に寒さをしのぐ防寒性、集中力を高める防音性としてイヤーパッドも大事です。ただこれも個人的な嗜好にもよりますので、イヤーパッドが簡単に外せてメンテナンスもしやすいものを選ぶと良いかと思います。
また、こちらも個人によりますが、寒さと暑さをコントロールする為のベンチレーションも快適性という意味では外せない部分になります。ただベンチレーションがあれば良いという訳ではなく、自分で調整できるベンチレーションや、ヘルメットとゴーグルの相性を考えて、ゴーグルが曇りにくいベンチレーションというのも非常に重要な部分になります。
コンディションによってベンチレーションを自分で調整できるモデルも
SMITHの場合はヘルメットとゴーグルを同時開発できるという強みがありますので、実際にSMITHのヘルメットとゴーグルを着用した場合、ヘルメットの全面のベンチレーションとゴーグルの通気個所の確保がしっかりしていますので、ヘルメットとゴーグル両方の性能を最大限使用する事が可能です。SMITHではこれをインテグレーションと呼んでいます。
写真の右手人差し指の部分がインテグレーションと呼び、SMITHのゴーグルの通気とヘルメットの通気をコントロールする
さらにヘルメット購入の場合は店舗へ足を運び、実際の頭の形とヘルメットがしっかりマッチングしているかを試す事が大事です。またヘルメットとゴーグルが別のブランドの場合、ゴーグルの形とヘルメットの形がマッチングしないため、ヘルメットとゴーグルの間に隙間ができてしまったり、一ヶ所だけが当たってしまい滑走中に音がでたり、ゴーグルが曇りやすくなってしまったりしますので注意が必要です。
意外と気がつかないユーザーさんが多いのですが、ヘルメットを使用する場合、ゴーグルのバンドが伸び切ってしまう事があります。その場合延長バンドの様なものも使用できるゴーグルが良い場合があります。SMITHでは延長バンド(エクステンダー)を用意していますので、バンドが伸び切る事も無く、快適に使用できます。
ゴーグルのバンドが伸び切ってしまわない様に延長バンド(エクステンダー)を使用するのもお勧め
④ヘルメットはメンテナンスが必要なものでしょうか?
直にヘルメットを被られる方はヘルメットの内部のインナーを外して洗ったり、イヤーパッドも同様に外して洗う事をお勧めしますし、ヒビ、亀裂が無いかどうかの確認は安全性という意味でも必要です。
ヘルメット内のインナーやイヤーパッドを洗ったり、外したり調整できるモデルを選ぶ事をお勧め
⑤滑るシーンがある程度決まっている場合、それに対応しているヘルメットを選んだ方がよいのでしょうか?
そうですね。ただスキー、スノーボードといっても滑るフィールド、カテゴリーによっては、安全性の確保は当たり前の上で、ヘルメットに求める性能はそれぞれ違ってきますので、ある程度自分が滑るフィールドやコンディション、滑走日数等を考えて選ばれた方が良いかと思います。ここではSMITHのヘルメットで説明させて頂きます。
フリースタイルシーンの場合、やはり軽量化という事が直接動きにダイレクトに関わってくるカテゴリーです。ですので通気性にもすぐれ、かつ軽量モデルという事でMAZEをお勧めします。このモデルは重量がわずか350gという軽さで、ソチオリンピックに出場したSMITHのライダーさんは殆どこのモデルを使用していました。もちろん低床設計で、軽さの為に削ぎ落とせる部分をできるだけ削ぎ落としたモデルです。このモデルはフリースタイルだけでなく、今までヘルメットを被っていなかった方にも重さが気にならないという部分でお勧めです。
Model: MAZE
バックカントリーとスキーシーンの場合、一番指示を得ているのがVANTAGEというモデルになります。こちらは対衝撃吸収性、通気性、すべていいとこ取りしているモデルになります。過酷なコンディションでもベンチレーションを自分で調整できますし、サイズもBOAで細かく調整できます。
MODEL: VANTAGE
さらに内部のコロイドというストローを短くして重ね合わせているような素材が衝撃を吸収するにも関わらず通気性も向上します。このコロイド素材により強度が今までのモデルより30%も向上しました。これはバックカントリーではかなり重要な部分ではないでしょうか?このモデルはたくさんの機能を備えた最上位モデルにも関わらず、わずか500gという重量におさめています。
コロイド素材により強度が今までのモデルより30%しつつ写真イメージの様にヘルメット内の通気性能も向上
次にエントリー向けになりますが、まだスキーやスノーボードを始めたばかりの方は意外とヘルメットの扱いを雑にされる方が多いと思います。ですので雑に扱っても凹んだりしないタフなモデルがお勧めです。このGAGEの重さはVANTAGEと同じ500gですので充分な軽さに収まっています。軽さを追い求める訳でなく、充分な軽さの上で耐久性を求めたモデルとして非常に使いやすく、気軽に使用できるモデルとなっています。
MODEL: GAGE
最後にキッズモデルですが、必ずサイズが微調整できるモデルをお薦めします。キッズは成長も著しく、購入したのにすぐに使えなくなってしまう事が多いからです。SMITHのキッズ用ZOOM JR.はダイヤルフィットシステムがついていますので簡単に調整できますし、非常に軽量です。またヘルメットとゴーグルのセットもリリースしていますので、相性も良く、かつお安くなっていますのでお勧めです。
MODEL:ZOOM JR.
今回はヘルメットの選び方や安全性という面での基準がある事、シーンに応じて選ぶヘルメット、ゴーグルとヘルメットとの相性の重要性など、意外と知られていない事をたくさん聞くことができた。
これからも楽しくスキー、スノーボードを続けて行く為には、万が一の時の安全性をしっかりと確保する事が大事であり、それはまずヘルメットであることは間違いないのではないだろうか。
是非このチャンスに、大事な人、家族、友人との楽しいウィンタースポーツを続けていく為に、ヘルメットの重要性についてもう一度考えて欲しい。
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