常に熱い男、上田豪。しかしただ闇雲に熱いだけではなく、自分がどう感じたか、どう選択するべきなのかを考え抜いた上での行動は、今のこの世の中、なかなか見ることができない男の一人であることは間違いないだろう。
実は彼とはかなり前に出会い、その時はスケートボードのプロとして紹介されたが、しばらく時を経て再会した時、かなりスノーボードに熱中している彼がいた。何事にも真剣に取り組む彼がスノーボードに熱中したその「訳」がとても気になり今回のインタビューを行う事に。
彼の本業はスケートボード。しかし彼のスノーボードへの思い、楽しむ為のアプローチはとても純粋だった。興味があるものはスポンジのようにシンプルに吸収する男、
上田豪インタビュー Vol1をお送りします。
上田さんはプロスケーターでもあり、コンテストのMCやスクール講師など幅広く活躍中ですが、今現在の上田さんの活動を教えて頂けますか?
それぞれフィールドによって違うけど、まずはメーカー、ディストリビューション業をやってます。僕がカナダにいたときの友人のブランドやそれ以外のブランドなどを扱っていて、平日のデイタイムはメーカー、ディストリビューションとして営業、電話、出荷や、荷物を成田空港にピックアップしたり等、全て自分でやっています。次に週末にスケートボードのコンテストのMCやスケートボードを一般の人により認知してもらう為のイベント等のMCやプロショップが主催するイベントなどでのデモンストレーションですね。
それとスケートボードのスクールもやってます。これはイベント中に簡易的にスケートボードを体験してもらって楽しさを理解してもらう為のレッスンだったり、レッスン料が発生するようなスクールをショップのレッスンのゲストコーチとして行ってます。嬉しい事に2~3ヶ月前からスケジュールが埋まってしまうので、全国展開でオファーしてくれる所もあるけど、自分を本当に必要としてくれている所もわかっているので、ここ数年の6割以上は常連の人達です。
あとは平日の夜にスケートボードの練習ですね。単純にスキルアップの為の練習。プロスケーターの仲間とか地元のM’sというスケートパークでそこのローカルとスケートしてる。 スケートの練習は実際のデモを行う場所をイメージしての練習や、始めて行く時には写真や動画を見て、そこに合わせた練習等を日々行ってます。練習はその週末のイベントに合わせて体調や技のコントロールをしっかりしてるかな。自分は1分間の中でまとめるてやるスキルを持つライダーではないので、ベストトリックとか15分間のジャムセッションのコンテストだと出たいな、とも思っています。
スケートボードを始めたのはいつからですか?
中学1年生の時にスケートボードを始めたけど、中学3年生のときから20歳のとき迄まで全くしていなかったんだ。スケートボードより遊ぶ事が楽しかったから。でも成人式の時にスケートボードを教えてくれた先輩に「スケートボード辞めちゃったのか?」と言われ、渡されたスケートボードを乗ってみたら楽しかった。なのでまたその先輩の所へ行って乗ってみたらやっぱり楽しくて、その時26インチの自転車の後ろの所をオーリーで飛べて、「楽しい!」って思えて。で、写真を撮ってもらおうと思って飛んだらその場で骨折して(笑
その時にその先輩が「また治ったらこれ乗れよ」と言ってくれてスケートボードのコンプリートをくれたんだ。そこがスタートのきっかけ。僕の時代はとにかくジャンプランプとかで飛ぶ、という感じだったけど、復活したらスイッチトリックとかテクニカルトリックとかがメインになってて。
「なんか復活したけど楽しくないなー」と思ってたら友達の外人が海外の雑誌を持ってきてくれて、そこにはブリテッシュコロンビア特集があり、自分がやりたいような、こんな所で滑ってみたいようなパークが、バンクーバーに住んでたらここ全部1時間以内で行けるぞって言われ、その一言で半年も立たないうちに旅立ったよ。
スノーボードを始めたのはいつからですか?
スノーボードは車の免許を取った時、18~19歳ぐらいから始めたかな。高校を卒業してスノーボードギアを一式購入したけど、その時は仕事をしていたんでサンデーボーダーだった。最初の1シーズンは10回未満ぐらい行ったと思う。その後スケートボードを復活したので、正直スノーボードしたかったけど、お金がなかったのでできなかった。でもカナダにスケートボードしに行った時もウィスラーとブラッコムに1回ずつ滑りには行ったかな。それから年に1回行くか行かないかという生活、それ以降24歳から34歳ぐらいまででトータル5回ぐらいしかいかなかった(笑
プロスケーターという一面を持ちつつも、スノーボーディングにもかなり熱心ですが、のめり込んだきっかけはありますか?
4年前にスノーボードを復活した理由がふたつあるんだよね。
キーワードは「FREERUNと河野信吾」そして「カスタムプロデュース」。一つ目はFREERUNで河野信吾が企画した案件があって、キャンピングカーで天DAYSという東北に行く企画で。それで自分はスケーターとして行ったけどスノーボードをするという事になったんだ。そうしたらいきなりハイクさせられて。辛くてゴーグル曇るし、すぐ横のリフト乗ればすぐに滑れるのに何でハイクするんだろう?って思ったよ。
でも頂上から滑ったランはノートラックでめちゃくちゃ気持ちよくて。それまではリフト券買って、じゃあ何処滑る?って言う感じだったけど、実際山を登ってみると、「雪崩」や「パック」「北斜面」「底づき」やら自分には当時全く訳のわからない言葉が出てきて興味が出てきて色々質問したよ。
そこからなんでゴーグルが曇るのか?曇った時にはどうしたらいいのか等も教えてくれて、「スノーボードってこういう天候、気温、雪の状態にあわせて滑る場所を選ぶんだ」と感じた時、「自分自身が遊ぶ所を考えれば、一番ベストの所に辿り着けるんだな」と思った。
自分は用意されている場所で遊ぶ事にあんまり興味がなかったので「自分で情報を得て調べていく事によってもっと楽しくなる、決定権を自分で持つことができるのがスノーボードなんだ」と思ったらさらに楽しくなったんだ。
出会いとは面白くて、同時期に展示会にがあってたまたまVISONのブースを出してたら、今サポートしてくれているCoal Headwearのブースが隣に出ていたんだ。そうしたら後輩がCoalの広告代理店をしてたのでばったり出会い、Coal(カスタムプロデュース)の永田君を紹介してもらって、共通の友人がたくさんいる事から更に仲よくなった。さらにカスタムプロデュ-スのみんなはスノーボーダーなのにスケートボードが大好きで。そこでスケートボードを一緒にやりつつ、スノーボードも一緒に滑るようになったのが二つ目。
結果その二つの出来事で自分の探究心とそれを教えてくれる友人がいる事によって自分のスノーボードが動き出した。そうしたらオレもライダーとしても活動しているサングラスブランド rediのノブとハッシーとかも誘ってくれて北海道に一緒に滑りにいったら、ちょっと滑った後にいきなりストリートに連れて行かれてログアタックさせられて(笑
その後には凄い斜面で狭いツリーランの中、凄いスピードでラウンドログにトライしてたりして「すげー!」って思ったよ。そして今となってはもの凄く仲の良いHi-Seeもスケートを撮ってたから必然的に絡むようになったり。同い年の林マグン正久もスケート好きで意気投合してスノーボードに誘ってくれたり、ブレイブプロジェクト YESの平さん、Twelveの福山君や西田君、地元のプロショップ Zimbabweのオーナーや店長らがボードに関わるお世話をしてくれたり、TJの豊田さんにも「スノーボード始めたんだって?じゃあ一緒に滑るか?」って誘ってくれたりして、その時に「自分がリアルに感じたスノーボードの凄さって’’面子と繋がり’’スケートボードと同じじゃん!」と感じたんだ。そうやってのめり込んでいった過去4年間だったかな。
あ〜あとこれも大事だ。スケート仲間の林秀晃や江原志輝がオレよりスノーボードがうまくって、悔しくて、あいつらブッ飛ばすって思いも正直でかい (笑)
でもガッツリ滑り始めたのがこの2年間で、それは点と線が結ばれてきたから。ボードのセッティングによってもの凄くフィールングが変わったり、ウエアーの機能性をどのように最大限使用するかとか、ギアに関しての理解が深まってきたね。それと同時に育てる事の楽しみも感じてきたかな。
Deeluxeのエンパイアっていうブーツをプレゼントされたり、ハッシーが皮のグローブをプレゼントしてくれたんだ。両アイテムともミンクオイルで育てると凄く良くなるよって言われて、それを忠実に守ってたらめちゃくちゃ良いコンディションになってきて。そうやってスノーボードに行く前の準備やリズムを整えるために生活が規則正しくなってきたよ(笑
時間の使い方とか準備とかの楽しさは意外とスケートボードにはなかったから、最初はちょっと大変だったけど、今はそれを楽しんでいる感じ。行く前に用意を20分で済ますと「やるぜ!俺!」って思うんだけど実際ウエアーを違う車に置き忘れたりして(笑
でもそういう楽しみも実感してるよ。
そしてスケートボードを扱っているメーカーがスノーボードを扱っている所もあるので、例えば良くしてもらっているFUSIONが奥只見でスノーボードのイ ベントがあるけど夜のイベントでスケートボードもできるから来てよ、ということになってFUSION GARDENというスノーボードのイベントに始めて参加させてもらったり。そこでスノーボードのイベントって凄く大変なんだなってわかったとともに、色ん な人達がそこに集まるパワー、一体感って凄いなって感じたよ。両方良いところはあって、スケートボードのイベントの良さ、スノーボードのイベントの良さ、 その違いを実感する事ができたんだ。
だからスノーボードのイベントにも沢山参加してみたいって思ってるんだ。
振り返ってみると、スノーボードにのめり込むのが年齢的に遅かったけど、だからこそ自分の事を知ってくれている人達も多かったから、よい環境でスノーボードができた事がさらにスノーボードが好きになった理由でもあると思う。
[youtube http://www.youtube.com/watch?v=tfZnAH3mNCQ]
上田豪のローカルパークでの映像。一緒に登場しているのは池田幸太。
数多くのインターナショナルサポートを受け、世界に向けて闘いを挑む誰もが知る男。
池田幸太ら若手に刺激をもらいながら、日々のスキルアップを怠らない。
Vol2では上田豪にとってのSnowboardingとSkateboarding, そして家族に対して、目指すライフスタイルについて語ってもらいます。
お楽しみに!
Interviewed and edit by