イナムライフ vol.1 オーストラリア編

ライダー稲村 樹が世界のパーク事情・コンテスト事情をレポートして行く企画イナムライフがスタート。コンテストシーン最前線で活動するタツキの目線で、今のコンテストシーンを伝えて行く。そんなイナムライフの1発目は夏に行ったオーストラリアでの生活。仲間と過ごしたオーストラリアでのスノーボーディングライフ。
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今回の旅のメンバー。このメンバーで一ヶ月半を共に過ごした。

今年の夏はオーストラリアにあるPerisher(ペリッシャー)というスキー場に行く事に決めた。例年のこの時期はニュージーランドで滑っていたのだが、Mile Highという大会がある事と、「パークの調子が良く天気も安定している」という情報を聞きつけ初めてのオーストラリアへ飛ぶ事にした。

オーストラリアに到着し、まずはシドニー空港でレンタカーを借りる。そこから今回滞在するジンダバインという街まで南に6時間のドライブだ。ジンダバインからスキー場までの30分の道のりは綺麗に整備されていたが、途中飛び出してくるカンガルーを退きそうになる。THE オーストラリアを早速経験する。カンガルーだけがドライブの唯一の注意点だった。

いざPerisherに着くと、山自体の標高は決して高くはないのだが、ゲレンデがとにかく横に広い。滑っていて1回迷子になってしまったぐらいとにかく広い。僕たちの目的であるイケてるパークはPerisherのゲレンデ中央に綺麗な形で作られていた。

整備の行き届いたPerisher Park

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メインパークの全景。左側にジャンプが14M 12M 18Mの3連、右側にはジブレーン、ハーフパイプも存在する。

滑ってみると、どのセクションもしっかりと整備が行き届いていてストレスを感じる事なく流す事が出来た。しかも、パークを挟んで左右にTバーとリフトが設置されているので速いペースでも流せるので練習するには最高の環境だ。大きさもアイテムも申し分ない。
中でも印象的だったのは、多くの有名ライダー達がこの地に集まっていたこと。もちろんMile Highという大きな大会がある事も理由の一つかもしれないが、このパークのクオリティーの高さが多くのライダーたちを惹きつけているように思えた。実際に、北米や北欧を中心に各国のナショナルチームも来ていて、大会を終えた後もみんなここに残り、練習や撮影などを楽しんでいた。正直、こんなにもトップライダーが集まるパークは初めてだった。大会以外で彼らの滑りを生で見る事ができる事はもちろん、それを同じパークを滑り、肌に感じる事が出来たのは自分にとって良い経験だった。

世界のトップライダーが集うコンテスト”Mile High”

この夏、最も大きなスロープスタイル大会”Mile High”がここPerisherで行われた。今回の大会は一般的なジャンプとジブが混在したスロープスタイルコースとは違い、ジャンプコースとジブコースの二つのコースが用意されていた非常に珍しい大会だった。大会フォーマットとしては各コースを2本ずつ滑り、ジャンプコース、ジブコースのそれぞれベストランの合計が順位になるといったものだった。
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ジャンプコース、ジブコース共に4セクションあるので単純にライダーの技のバリエーションが求められる。加えて、一つ一つのセクション自体はシンプルなものとなっており創造力次第で様々なラインで滑る事ができるとても面白いコースになっていた。
ここで目を引いたのはアメリカ勢。国柄もあるのか一人一人がとても自由でユニーク。見ている方にとっても創造力が掻き立てられる様な滑りをしていて、大会を忘れさせてくれる遊び心のある滑りが個人的にすごく好きだった。今、技の難易度が高くなりスタイルを出しづらい中、カッコいいスタイルを保ちつつ大会で勝つ事、これがコンペに出ているライダーの永遠のテーマだと僕は思っている。そんな事をこの大会を見て再認識させられた。
日本人では15歳大塚健が最高位の13位。日本人の若手にしては珍しくジャンプだけではなくジブも難易度の高い技を持っているのが特徴的で今後が非常に楽しみな存在だった。
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初めてこのスキー場に訪れたが、天気も安定していてかつ比較的暖かい。実際、8月から1ヶ月半滞在していたのにも関わらず、ウェアを着た日が5日もなかった。この様に暖かいので身体もよく動き、春の様なコンディション中滑ることができた。そして改めて思ったのだが、天候、周りのライダー達のレベルそしてパークのクオリティーの高さ、これだけの要素が詰まったパークは他を見渡しても少ない。確かにすごく大きなジャンプは期待できないが、夏場に安定して滑り込みたい人や室内ゲレンデ、KINGSなどオフシーズン練習してきたものを山で試したいという人にはとっておきの場所だと僕は思う。今後、日本人のパーク好きな若手がどんどんこの地に練習しに来るのだろうなと思わせるそんな魅力のあるスキー場だった。

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スキー場に向かう途中にあるカンガルースポット。人懐っこくて餌を求めて近づいてくる。